システムエンジニアは汎用系とオープン系に大別され、構築する際に使用する言語や稼働環境が異なります。

その他にWeb系や制御系のエンジニアもいるものの、クローズドと呼ばれる汎用系の基軸は汎用機にあるのが特徴です。

今回は汎用系エンジニアとはどのような仕事かについて、必要なスキルや資格も交えながら解説します。

また汎用系エンジニアの向き不向きについても触れるので、ぜひ参考にしてください。

汎用系エンジニアの役割


汎用系エンジニアは大量のデータを扱う大型コンピュータに組み込むシステムに携わり、以下のような役割を担います。

  • クライアントの要望に合わせたシステムの開発
  • 開発したシステムの保守
  • システム資源やハードウェアの割り当ても含めた運用

大量のデータを取り扱う金融機関・行政機関・保険会社などでは膨大なデータを超高速で処理できる汎用機を使うのが一般的です。

汎用系エンジニアはクライアントの要望に合わせて業務アプリケーションを用意し、独自のシステムを構築していきます。

そのためシステムの開発から保守・運用まで幅広い業務を担当します。

オープン系・Web系との違いは?


汎用系以外にもオープン系あるいはWeb系とよばれるシステムエンジニアがいます。仕事内容や適性が異なるので、違いを知っておくにこしたことはありません。

ここでは汎用系とオープン系・Web系エンジニアの違いについて説明します。

■オープン系

オープン系エンジニアはパソコンを基軸にシステム開発を行うため、OSやさまざまなプログラミング言語を活用できるのが特徴です。

開発コストが抑えられるうえ、クライアントのニーズに柔軟に対応しながらシステムを開発できます。

近年は高性能のパソコンが増えているのでオープン系システムの需要が増えており、OSのアップデートを行えば能力が低下するリスクも軽減できます。

また使用する言語もJavaやC言語と学習している人が多いうえ、パソコンのOSに関連する開発ルールも活用可能です。

RubyやPythonなどの言語も使用できるなど、今後もオープン系システムに用いられる言語は広がると予想されます。

■Web系


Web系エンジニアはWebサービス並びにスマートフォン向けのアプリケーションなどの開発を担います。インターネットへの接続を前提に、Web上にシステムを構築するのです。

SNS・通販サイト・Webサイトに組み込むシステムの開発など業務の幅も広いです。

Webエンジニアが使う言語としてHTMLやCSS・JavaScript・PHP・Pythonなどが有名ですが、フロントエンドとバックエンドのどちらを選ぶかで必要なスキルが変わります

パソコンやスマホで見えるWebブラウザのシステムを構築するフロントエンドと、サーバーサイドを開発するバックエンドのどちらに進むかを決めてから言語を学ぶとよいでしょう。

汎用系エンジニアはこんな人におすすめ


汎用系エンジニアは、以下のような人におすすめの職種です。

  • 大規模なシステム開発に携わりたい人
  • 安定した企業で働きたい人
  • 幅広い知識や経験を身につけたい人

近年はオープン系やWeb系にシステムが移行しつつあるといわれながらも、汎用性エンジニアが培ったスキルが役立つ場面はまだ多いと予想されます。

ここでは汎用系エンジニアに向いている人について、具体的に説明します。

■大規模なシステム開発に携わりたい人

汎用系システムが使われている業種として銀行や証券・クレジットカード会社などの金融系をはじめ、国税庁や年金機構といった政府機関があげられます。

セキュリティが強固で大量の情報を処理できるシステムを構築する必要があるため、大規模なシステム開発に携わりたい人には汎用系エンジニアがおすすめです。

汎用系システムに携わると世の中で利用されている仕組みを裏側からみることができたり、汎用機にしかできないタスクが豊富だったりすることも魅力といえるでしょう。

■安定した企業で働きたい人


安定した企業で働きたい人も、汎用系エンジニアに向いています。汎用系システムを導入しているクライアントに、一部上場企業や官公庁が多いからです。

近年は導入コストの安さとCOBOLと呼ばれる言語を扱えるエンジニアの減少により、オープン系システムに移行する企業が多いといわれています。

しかし一部上場企業や官公庁は汎用系システムを長く利用しているため、汎用機を用いたソフトウェア資産への信頼度が高いのが実情です。

汎用系からオープン系システムに全面移行するためには高額なコストがかかるので、既存資産のノウハウを失うリスクを超えて取り組む企業は多くないと考えられます。

COBOLを扱えるエンジニアが減少傾向にあるため、汎用系エンジニアの必要なスキルを身につけることで安定企業に転職しやすくなるかもしれません。

■幅広い知識や経験を身につけたい人

システム開発に関わる幅広い知識や経験を身につけたい人も、汎用性エンジニアに向いています。

汎用性エンジニアは一部上場企業や官公庁の仕事を手掛ける中でコミュニケーションを図りながら、業務についての理解も深めていくものです。

業務を通して得たさまざまな経験を生かせば、実際にプログラミングを行うだけでなく、システム設計やプロジェクトリーダーとして活躍することも可能です。

自分のキャリアパスの選択肢を増やす意味でも、汎用性エンジニアとして経験を積む意味はあります。

実情が知りたいなら口コミサイトをチェックしてみよう


汎用性エンジニアをネット検索すると、やがてオープン系システムに移行するだろうと書かれた予測記事が数多くヒットします。

しかし実際には汎用系システムのほとんどが一気にオープン系に移行するとは考えにくく、対応できるエンジニアが少ないため若い世代にとってはチャンスがある職種といえそうです。

汎用系エンジニアの実情を知りたいなら、さまざまな口コミサイトをチェックしてみるのが一番です。

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汎用系エンジニアに役立つスキル・資格


汎用性エンジニアを目指す際には、以下のようなスキルや資格があると役立ちます。

  • プログラミング言語
  • プロジェクト管理スキル
  • システムアーキテクト試験
  • プロダクトマネージャ試験

ここではそれぞれのスキルや資格の内容について、具体的に説明します。転職活動を始める前にスキルアップを図っておくと、希望の企業に入社しやすくなるかもしれません。

■プログラミング言語

汎用性エンジニアが使用するプログラミング言語として、以下のものがあげられます。

  • COBOL
  • FORTRAN
  • Java

上記3つの開発言語は、汎用系エンジニアを目指すうえで不可欠です。

COBOLは会計並びに事務処理に適したプログラミング言語で歴史が長く、国際的に標準化されています。

FORTANはプログラミング言語の中でも数値計算を得意とし、大規模な計算を高速処理することが可能です。

JavaはGoogleの三大言語に名を連ねておりシステム開発だけでなく、Webやアプリケーションの開発にも使えます。

この3つのプログラミング言語をマスターしておくと、汎用機やOSの異なるクライアントの仕事にも対応しやすいのでおすすめです。

■プロジェクト管理スキル


汎用系エンジニアは大規模なシステムを仲間と協働して作り上げる仕事なので、プロジェクト管理スキルが求められます。

いくつかのフェーズに分かれる大規模なシステムを開発する際にはスケジュールや人員の計画を予算に応じて立案し、進捗管理をしながら調整する必要があるからです。

プロジェクト全体を把握したうえでフェーズに適したプログラマーの配置から外部パートナー企業との連携・調整に至るまで目を配り、時間管理の精度が高いと重宝されます。

■システムアーキテクト試験

システムアーキテクトとはシステムの上流工程で情報システムの設計・開発を行う上級エンジニアを指し、情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格でもあります。

システムアーキテクト試験への合格は、情報システムに関する豊富な知識と経験がある証明となるため、汎用系エンジニアが上位職にチャレンジするうえで重要な資格の1つです。

またシステムアーキテクト試験に合格すると、中小企業診断士や弁理士などの受験にあたって科目免除される優遇措置も受けられます。

■プロジェクトマネージャ試験


プロダクトマネージャとはIT関連のプロジェクトにおいて全体管理を担う役割を果たし、情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格取得者でもあります。

IT関連のプロジェクトの責任者として開発現場を総括するだけでなく、計画や実行・管理に至るまでを受験対象とした国家試験です。

プロダクトマネージャの経験がなくても受験でき、予算やスケジュール・品質管理に関する知識並びに適性がある証明となる資格です。

前述したシステムアーキテクト試験と同様に、取得すると他の国家試験やITコーディネータ試験の一部科目が免除されます。

汎用系エンジニアにはデメリットも


オープン系やWeb系システムの台頭により、ニーズはあるものの汎用系エンジニアのデメリットが囁かれるようになっているのも事実です。

汎用系エンジニアのメリットとデメリットを理解したうえで、職種として目指すかどうかを考える必要があるでしょう。

ここでは、汎用系エンジニアのデメリットについて説明します。

■自由なシステム開発は難しい

汎用系システムはクライアントにより仕様設計や、使用するOS並びにアプリケーションが独自に開発されているものです。

そのため古くなっても自由なシステム開発や別なものへの移行、機能の切り離しがしにくいデメリットがあります。

汎用系システムは、ベンダーと呼ばれる開発元企業ならではの製品やサービスを組み込んで作られています。

それがベンダー依存を生み、問題があっても簡単に切り替えられないことも、デメリットといえるでしょう。

■オープン系への転向は大変


汎用性エンジニアが使う言語は独特なので、オープン系に移行しようとすると学び直しをする必要があります。

汎用性エンジニアでは使う機会のないPHPやRubyなどのプログラム言語を習得していなければ、門戸が開かれる可能性は低いです。

また近年は個々のオープン系システムの開発だけでなく、営業戦略支援のためにパッケージされた市販品やオープンソースを選定できる知識も求められます。

市場のニーズに対応できるスキルを身につける覚悟と努力がないと、オープン系エンジニアに転向するのは難しいと予想されます。

汎用系エンジニアの将来性


ニーズがなくなるといわれている汎用性エンジニアですが、市場の縮小は事実でもCOBOLをはじめとするプログラミング言語を身につけていれば一定の需要があります。

汎用系システムの保守管理運用ができるエンジニアが、市場で不足しているからです。

また汎用系システムからオープン系あるいはWeb系のシステムに移行する企業が増えているため、既存環境に精通するエンジニアは市場で重宝されています。

オープン系やWeb系システムに必要なスキルを同時に身につけることで、将来の選択肢が広がると予想できます。

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汎用系エンジニアの経験はキャリアアップに活かせる


大規模なシステムを構築する汎用系エンジニアの経験を通して得られるのは、プログラマーとしての実務スキルだけではありません。

システムの分析や設計・開発・テスト・導入に至るまで関わる汎用系エンジニアは自ずとプロジェクト管理スキルが養われるものです。

そのためプロダクトマネージャをはじめ、IT系コンサルタントとして活躍するなどキャリアアップが可能です。

自分のこれまでの経験を生かして、オープン系システムにおいて新規開発や刷新提案ができる人材を目指すなど多様な進路が広がっていると考えられます。

エンジニアスキルアップができる企業一覧

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