2022年現在、「テレワーク」という言葉は当たり前のものとして浸透しました。

就職や転職先の条件として、テレワークが可能であることや、在宅勤務の規定があることを条件とする方も増えてきたのではないでしょうか。

とはいえ、職種や業務内容によってはそもそもテレワークを導入することが難しい場合や、一定以上のスキルが必要とされる場合もあります。

今回はまず、テレワークを積極的に導入している業界とそうでない業界について、関係省庁の調査などをもとに解説していきましょう。

さらにミクロの視点も取り入れ、テレワークの適性という視点、新しい働き方の上手な取り入れ方をご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。

テレワークを導入している企業は増えている


国土交通省が実施した令和2年WEB調査によれば、有効サンプル4万件の就業者のうち、「テレワーカーである」との回答は22.5%にのぼります。

これは前年比で7ポイントの急上昇であり、過去5年間での最高値を記録しました。

また厚生労働省は翌年に行った企業実態調査で、「テレワークの活用経験がある」と回答した企業に、その後の継続についてもアンケートを実施しています。

「調査時点(令和3年)にも継続してテレワークを行っている」と回答した割合は各業種総計で74.6%と、非常に高い割合を示しました。

このことから、ここ数年で急激に巻き起こった就労環境の変化は一過性のものに終わらず、テレワークという働き方は広まり続けているといえるでしょう。

テレワークできる仕事が多い業界


今や広い範囲に拡大・定着しつつあるテレワークですが、当然ながら、どんな業務でも気軽に切り替えられるというわけではありません。

例えば宿泊業や飲食業など、ヒトや場所、体験をキーとする産業においては、テレワークという選択はあまり見られません。

反対に、前出の国土交通省による調査によれば、IT業界と呼ばれる情報通信業従事者では6割以上がテレワークを導入しています。

また学術研究や専門・技術サービスといった専門技術関連の業界でも、半数近くがテレワークを実施しているという結果です。

さらには金融・保険業や電気・ガス業といった管理系のサービス業界でも、3割以上がテレワークを導入していることがわかります。

このように、現代ではかなり幅広い業種で、テレワークが実施可能であることがうかがえるのではないでしょうか。

テレワークできる仕事


では具体的に、どのような業務であればテレワークを選択できるのでしょうか。

ここでは先ほど上がった業界に共通する特徴をもとに、在宅勤務やモバイルワークといった、柔軟な働き方に適した職種を解説していきましょう。

業界や企業といった広いくくりでなく、あくまでワーカー個人がどのような職務に従事するかを基準として考えていきます。

現在の職場や希望の業界にとらわれることなく、自分のスキルや可能性を基準に検討してみてはいかがでしょう。

エンジニア


エンジニアといえば、テレワークが積極的に推進される職種の代表格といえるでしょう。

この場合は、ソフトウェアや情報通信サービスなどのエンジニアのことを指します。

実物の機材を管理するハードウェア関係のエンジニアでは、テレワークの割合は少々下がる傾向にあるようです。

IT業界に限らず、現代の情報化社会においてはどんな企業・業界・産業においても、エンジニアと呼ばれるIT技術者が必要とされています。

急成長を遂げる分野だからこそ、「未経験OK」としているような求人が多いのも特徴のひとつでしょう。

「テレワークに興味はあるけれど、スキルに自信がない」といった方にもおすすめの業種です。

事務


一昔前には、事務といえば「大量の書類や資料の管理・雑用係」なんてイメージで、毎日の出社が必須とされる業務のひとつだったのではないでしょうか。

ですが昨今のクラウドサービスの普及、印鑑不要の傾向、データ通信の普及などにより、事務作業はテレワークに切り替えやすい仕事へと変化しました。

仕事内容自体は形式的なものが多く、マニュアルが用意されている場合も少なくありません。

メールの送受信やクラウドへのアクセス、また資料の作成などの簡単なスキルがあれば、誰にでも気軽に始められるテレワークといえるでしょう。

デザイナー・ライター


場所や環境に影響されず、自分自身を仕事道具とするクリエイティブ系の職種も、テレワークが導入しやすい仕事のひとつです。

ただし上記2つの職種と異なり、個人のスキル・経験等がかなり重視されます

逆に言えば、スキルさえあればテレワーク推進の流れを利用して独立まで視野に入れることのできる、将来性のある分野ともいえるでしょう。

顧客とのやり取りができるタイミングと環境さえあれば、普段はどこでも好きな場所で仕事ができる点も魅力のひとつです。

コンサルタント


コンサルティングという仕事は、インターネットが広く普及した現代に再び脚光を浴び、急成長した分野です。

経営や会計といった実務的なノウハウに加え、社内のネット環境やWEB広報手段の整備といった、新しい知識やアドバイス・サポートが求められます。

とはいえ、新しいからこそ勉強しやすく、新規参入が比較的容易であるともいえる分野です。

未経験者には研修期間を設け、十分に知識と経験を得てから個別に仕事を割り振るというコンサルティング事務所も少なくありません。

テレワークの中でも、特に人とのやり取りをこまめにできる方におすすめの職種です。

マーケター


マーケティング業も、このネット社会において新たに注目を浴びた分野です。

今ではほとんどの市場でインターネットを利用したマーケティングが行われていることは、おそらく誰もが知るところでしょう。

配送業の発展により自由度の高まったインターネット市場では、様々な販売手法が取り入れられており、マーケターの対応範囲も多岐にわたります。

こちらも顧客とのやり取り・調査などが主たる業務となるため、テレワークとしても成り立ちやすい仕事です。

基礎的な知識や定番のノウハウよりも、革新的なアイデアが求められる分、少々スキルが必要といえるかもしれません。

さて、ここまでいくつか、テレワークのできる仕事をご紹介してきました。

中には、「こんな仕事ならやってみてもいいかも」と思えたものもあるのではないでしょうか。

GeeklyReviewでは、テレワークを行っている中でも人気の高い企業を、ランキング形式にしてご紹介しています。

ここで一度、気になった職種をチェックしてみるのはいかがでしょうか。

テレワークのできる企業をチェック

テレワークの実情は口コミサイトをチェック


「テレ」ワークとはその名の通り、社員一人一人が「遠方で」業務を行う勤務形態のことを指します。

企業の公式ホームページや会社案内、社内見学等では、常にオフィスにいるわけでない従業員の実情は見えづらいのが難点です。

もちろん、「テレワークを導入しているか否か」といった基本的なことであれば、上記の方法でも知ることができるでしょう。

ですが実際にテレワークを行っている社員がどのような環境・ルーティーンで業務を行っているかは、本人以外にはわかりません。

そんな時は、就職・転職活動におすすめの口コミサイトから、「社員の声」を参照してみるといいでしょう。

「テレワーク導入」を謳う企業であっても、その環境はピンからキリまで様々です。

完全テレワークなのか、定期的な出社義務はあるのか、業務に必要な設備(カメラ付きPCや通信環境など)のサポートはどれくらいか

社員の生の声を集めた口コミサイトでは、現場に則した視点から様々な情報が手に入ります。

時には「資料が社内にしかなく、定期的な出社が必要」「在宅ではなく、サテライトオフィスでの勤務だった」なんて裏話・勘違い話が出てくることも。

「こんなはずじゃなかった」を防ぐためにも、現場の口コミは積極的にチェックしていくといいでしょう。

テレワークが難しい業界は?


続いて、テレワークへの切り替えが難しい職種・業界の解説です。

「ヒトや場所、経験をキーとする産業」または「品物製造を行う産業」では、テレワークを導入しづらいという特徴があります。

今回は代表的な業界を3つ取り上げ、その理由を考察していきましょう。

製造業

形ある品物の製造を担う業界は、特殊技術や大規模設備が必要なことが多く、作業場の移動や分割が現実的ではありません。

手工業の場合はもちろんのこと、機械化された工場であっても、機械の整備や最終的な製品の取り扱いには人の手・人の目が必要な場合がほとんどです。

とはいえ、テレワークで働きたいがどうしても製造業に関わりたい、といった場合も、もしかするとありうるかもしれません。

その場合は、先に挙げたエンジニアやコンサルタント・マーケターといったスキルを身につけ、サポート分野での就業を目指すとよいでしょう。

医療


厚生労働省によるテレワーク実施率調査(前出)によれば、医療・福祉の分野で「テレワークを活用したことがある」と回答したのは2割ほどです。

ですがその後の継続という点では、ほとんど見られなかったことがわかります。あくまで緊急時の対応にすぎなかったのでしょう。

実施されたテレワークについても、顧客データや予約の管理、医薬品の販売管理やネット相談といった、事務作業のごく一部に限られたと考えられます。

人間の体に直接手を施す医療という分野では、どうしても相応の設備や直接対面での診察が必要になります。

医療関連の現場に関しては、おそらく今後も、ほとんどテレワークの採用されない業界といっていいでしょう。

接客・販売

「テレワークができる仕事」として紹介した中に「マーケター」がありました。

ここでご紹介するのは、サポートを主な業務とするマーケターとは異なり、店頭でお客様を相手にする接客業・販売業を指します。

ショッピングサイトが充実していても、例えば高価な宝飾品やブランドファッションといったものには、店頭で実物を見たいという要望が付き物です。

宿泊業や観光業、外食産業の中に含まれる接客というサービスも、その場に立って受け答えをする人間が必須でしょう。

このように、客側が実体験を求めるような分野では、働く方も同じように、取引の場に直接参加することが求められることが多いようです。

テレワークがおすすめな人


次に少々視点を変えて、テレワークという働き方に向いているタイプについて考えてみましょう。

テレワークとは、決まった場所への出社や所属といった管理体制にとらわれない、大変自由度の高い働き方です。

ですが逆にいえば、組織的な縛りが希薄な分、個々人の責任にゆだねられる部分が大きいということでもあります。

ここではそういった視点から、テレワークに向いている考え方、向いていない考え方をご紹介していきましょう。

デスクワークが好き


これまで見てきたように、テレワークが導入できる仕事とは基本的に、PCなどの通信環境があれば成り立つような職種がほとんどです。

営業や接客対応といった、人の前に出て動き回る必要のある仕事はテレワークに向きません。

つまりテレワークを実施する際には、決められた仕事に充てる業務時間はつきっきりで、自分のPCに向かっていられることが必須となります。

外回りの仕事や、手を動かすような作業でリフレッシュしながら働きたいという人は、テレワークには向かないかもしれません。

時間を有効に使いたい

一口にテレワークといっても、出社時と同じく勤務時間が定められているもの、納期を守れば就業時間は特に問われないものなど、時間管理法は様々です。

ですがどんな場合でも、「通勤時間が無くなる、または大幅に短縮される」といった点は共通しているでしょう。

テレワークを導入することにより、使える時間が増えることは大きなメリットになります。

空いた時間を趣味や副業などに充てたいと考えている方には、テレワークが向いているといえるでしょう。

反対に、ひとりでは時間管理がルーズになってしまうタイプの方には、出社というわかりやすいON/OFFスイッチがあった方がいいかもしれません。

自分のペースで働きたい


時間の管理という点と多少共通しますが、テレワークには自分の裁量で、自分に合ったスタイルで仕事ができるという大きな魅力があります。

例えばお子さんの世話にしっかり時間を取りたい方、親御さんの介護が必要な方など、優先したいものはいくらでもあるでしょう。

決められた場所・時間に縛られる勤務形態では、どうしても働きづらいという場合は多々あります。

その点テレワークなら、自宅を離れずに仕事をすることができるうえ、仕事以外の生活に主軸を置き、空いた時間を利用するといった働き方が可能です。

生活スタイルの変化に影響されず、自分のペースで仕事を続けたいという方にも、テレワークがおすすめできるでしょう。

働く環境の評価が高い企業との求人マッチ率をチェックしてみよう


ここまで様々な視点から、テレワークという働き方を考えてきました。自分のやりたい仕事や、求める環境などがはっきりしてきたのではないでしょうか。

ではいざ仕事を探すとなった場合、どこで、どんなポイントを基準にして見ればいいのでしょうか。

どれだけ具体的な希望やスキルがあっても、それに見合った企業を探し出すのは容易ではありません。

そこでおすすめなのは、口コミサイトで実際に働いている人の声をチェックしてみることです。

リアルな声を知ることで、自分のスキルや経験を本当に活かせるのかが分かります。

また就業後1~3年間の離職率などが公開されている場合は、長く勤めることのできる企業を紹介してくれるかといった指標にもなります。

自分に合った仕事を長く、安定して続けるためには、企業や業界とのマッチ率を正しく知り、活用していくことが大切になってくるでしょう。

そんなときにはぜひ、テレワークができる企業の中でも、環境が良いと評判のところを選んでみてください。

せっかくのやる気や才能が、環境のせいで上手く発揮されないなどということのないよう、しっかりと下調べをしておくことも転職活動の一環です。

テレワークのできる企業をチェック

自分にあった働き方を見つけることが大切


仕事に限らず、生活のあらゆる部分で自由化・多様化が進む現代において、ひとりひとりに合った環境を探し出すことは、実はとても難しいことでもあります。

持ちうるスキルや選択肢が多い分、逆に縛られてしまうこともあるでしょう。

そんな中で、今多くの場所で取り入れられているテレワークという働き方は、企業や個人の将来性を図るうえで、大きな指標になってきています。

時間や場所という考え方にとらわれず、各人各様の在り方に見合った適切な働き方を選ぶことが、現代社会を生きる上で大切になってくるでしょう。

働く環境が整っている企業一覧

最後に、テレワークを積極的に導入する企業の中でも口コミなどの評価がよく、働く環境が整っている企業をいくつか取り上げてご紹介いたします。