ゲーム業界は活況に満ちており、そのマーケットは年々拡大し続けています。

そしてそれを追い風にして、職業としてのゲームエンジニアについても、注目度が上がっているようです。

そこでこの記事では、ゲーム作りには欠かせない存在である、ゲームエンジニアの仕事の流れを解説しています。

また併せてゲームエンジニアに向いている人についても紹介しているので、ゲームエンジニアを目指している方や転職をお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

ゲーム制作に欠かせない存在・ゲームエンジニア


冒頭でも紹介した通り、ゲーム業界は年々マーケットが拡大しています。

ゲーム雑誌「ファミ通」が公表した「2020年上半期の国内家庭用ゲームソフトとハードの売上速報」によると、ゲームソフトの売上は前年比29.0%増となっています。

ゲーム機を示すハードの売上は前年比20.0%増とこちらも好調でした。

これらが背景にあるのか、2020年にベネッセが高校生を対象に実施した「なりたい職業ランキング」では、ゲームクリエイターが10位にランクインしています。

ゲーム制作に欠かせない存在であるゲームエンジニアは、今もっとも注目を集める存在といっても過言ではないでしょう。

開発するゲームの種類


ゲームエンジニアが開発するゲームの種類は、プラットフォームにより大きく2つに分けられます。すなわちオフラインとオンラインです。

また近年注目を集めるツールとしては、VRやARを挙げることができるでしょう。それぞれ解説します。

オフライン

オフラインのゲームやソフトは大きく2つに分けられます。1つはコンシューマーゲームと呼ばれる家庭用のゲーム機やソフトです。

もう1つはゲームセンターなどのアミューズメント施設に置かれるアーケードゲームとなります。

アーケードゲームの需要は根強いものがありますが、一般にオフラインのゲームといえば、コンシューマーゲームのことを指す場合がほとんどです。

オンライン

オンラインゲームのプラットフォームは、スマートフォンとパソコンになります。ゲーム専用のパソコンを使用して競う「e-スポーツ」は、近年注目を集めるようになりました。

世界各地で大会が開かれ、プロのゲーマーも出現しています。しかしゲームマーケットで拡大が著しいのは、スマートフォンなどのモバイルゲームです。

角川アスキー総合研究所が発表した「グローバルゲームマーケットレポート2020」によると、2020年の世界のゲームマーケットでは、スマートフォンなどのモバイルゲームは、前年比25.6%増の863億ドル(約9兆664億円)に達しています。

今後もこの傾向は続くものと見て間違いないでしょう。

VR・AR

「VR(Virtual Reality : バーチャルリアリティ)」とは、コンピュータ上に人工的な環境を構築し空間や時間を超越して、そこにいるかのような体験をさせる技術のことを指します。

日本語では「仮想現実」と呼ばれることが一般的です。VRを体験するには、VR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と、手に取り付けるコントローラを用います。

その世界に入り込み、歩いたりしゃがんだりと、自由自在に行動することが可能です。現実世界からは完全に切り離されるのが特徴といえます。

一方、「AR(Augmented Reality : 拡張現実)」とは、現実世界に付加情報を表示させて、現実世界を拡張する技術のことを指します。

VRは現実世界から切り離されますが、ARの主体はあくまでも現実世界ということです。ARはカメラ画像にデジタルコンテンツを重ねて表示するのが主流となっています。

どちらの技術もその進歩は目を見張る物があり、すでにゲームソフトにも取り入れられているので、今後タイトルが増えるのは間違いないでしょう。

ゲームエンジニアの仕事の流れ


ゲームエンジニアの仕事の流れは、大きく3つの工程に分けられます。すなわち打ち合わせと実際の開発、そしてデバッグなどのテストです。

どの工程も重要でおろそかにはできません。それぞれ解説しましょう。

打ち合わせ

ゲームエンジニアの仕事はデザイナーやクリエイターとの打ち合わせから始まります。

クリエイターとの話し合いの中で、そのゲームの内容や仕様、搭載する機能などについてその方向性を定めるのです。

ゲームエンジニアはプログラマーとしての立場から、実現が可能かどうかなどの意見を出します。

そして数度の打ち合わせを経て仕様書を完成させたら、その仕様書に基づいてゲームの開発が開始されるというわけです。

開発


完成した仕様書に基づきゲームの制作を行う工程です。ゲームの制作は専門分野が細かく分けられているので、ゲームエンジニアは自分の専門分野を担当することになります。

最近ではプログラミング言語だけではなく、UnityやUnreal Engine 4といった、ゲームエンジンを利用してゲーム制作が行われるので、主要なゲームエンジンについては精通しておかねばなりません。

テスト

ゲームが完成したら次はテストに入ります。ゲームに限らずプログラミングでは必ずバグが出るものです。

このため繰り返しゲームをプレーし、バグがあれば潰していくという作業が重要になります。

この作業をおろそかにすると、バグが残ったまま製品をリリースすることになり、ユーザーからは非難が殺到する事態に発展しかねません。

仮に製品の回収となればその費用は莫大なものになるでしょう。会社は利益を上げるどころか、大赤字になってしまいます。

詳しい情報は口コミサイトで調べてみよう


ゲームエンジニアについて興味をお持ちなら、ネットで情報を集めてみましょう。検索すれば様々なサイトがヒットします。

しかし意外と見つからないのが、ゲームエンジニアの生の声である口コミです。

GeeklyReviewではその企業にいる人・その職種で働いている人の実際の声を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

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ゲームエンジニアの年収事情


ゲームエンジニアの年収は、その人の持つスキルや就いている役職、担当する業務により大きく異なります。

会社員の平均年収は498万円ですが、これはIT系の職種に就いている人もほぼ同じです。

しかしソニーや任天堂などの大企業の場合は、年収700万円以上となることも珍しくありません。

最近ではモバイルゲームの需要が高まっています。独立してフリーランスとなれば年収1,000万円以上も夢ではないでしょう。

参考までにゲームエンジニアの求人例について掲載しておきます。

  • 推定年収:300~800万円
  • 業務内容:コンシューマーゲームコンテンツの開発
  • 求められるスキルや経験:C/C++を用いた開発経験、コミュニケーション力
  • 歓迎要件:Javaを用いた開発経験

ゲームエンジニアに向いている人


どんな仕事でもそうですが、人には向き不向きがあります。ゲームエンジニアに向いている人には、どんな特徴や共通点があるのでしょうか。

まずはヘビーユーザーといわれるほどゲームが好きなことです。これは基本となります。そしてトレンドに敏感でリサーチ力が高いことも求められる資質です。それぞれ解説します。

ゲームが大好き

ゲームが好きなことはゲームエンジニアでは、最も基本の資質であるといっていいでしょう。

ゲームをプレーしながら「自分ならこんな機能を搭載するな」、「こんなゲームがあればプレイしてみたい」と感じるのなら、十分資質があります。

また実際のゲーム制作の現場はハードです。残業が続くのは日常茶飯なので、「好きなことをしている」という思いはとても大事になります。好きなことだからこそ頑張れるというわけです。

リサーチ力が高い

トレンドに敏感で気になることは納得するまで調べるという資質も必要です。ゲームの世界のトレンドは、ほかと比較すると驚くほど速いといえます。

そのトレンドについて行き、必要な情報をリサーチする能力は、ゲームエンジニアにとっては強い武器となるでしょう。

また映画やアニメ・音楽など、ほかのジャンルにも詳しいと、さらにプラスになります。

ゲームエンジニアを目指すなら


ゲームエンジニアを目指すのであれば、ゲーム開発に必要な技術やスキルを、身につける必要があります。

ゲーム開発に必要な技術やスキルについて見た上で、どうしたら習得できるのかその方法をご紹介しましょう。

併せて気になる企業の情報収集についても触れることにします。

ゲーム開発に必要なスキルの習得

ゲーム開発に必要なスキルとは何があるのでしょうか。それは大きく5つあるといえます。すなわち次の通りです。

  • コミュニケーション能力
  • 英語の読解能力
  • 数学や物理学の知識
  • ゲームエンジンを扱える
  • プログラミング言語の知識

それぞれ解説しましょう。

  • コミュニケーション能力

ゲーム制作はチームで行います。しかもメンバーはそれぞれのジャンルの専門家です。その上最近は仕事の内容が細分化されています。

デザイナーをみてもモデリングデザイナー・モーションデザイナー・背景デザイナー・エフェクトデザイナーなどに分かれて仕事をしているのが現状です。

ゲーム制作においてはそれぞれのジャンルの人と、密にコミュニケーションを取りながら仕事を進める必要があります。

このためゲームエンジニアには、高いコミュニケーション能力が求められるわけです。

  • 英語の読解能力

ゲーム開発にかかわる最新技術の発表は、英語で行われるのが普通です。

日本のゲームは海外でも評価が高いので、ゲーム制作においてもグローバルに取り組む企業が増えています。

そこで必要となるスキルは英語の読解力です。流暢に英語を操れるのがベストですが、外国人スタッフと日常のコミュニケーションが取れれば十分でしょう。

  • 数学や物理学の知識

数学や物理学の知識はキャラクターの動きを決定付ける重要な要素です。特に3Dアニメーションでは、座標の計算や物理演算といった数学が必要になります。

画面のコントラストや奥行きを与えるには、緻密な計算が大切です。キャラクターの動きが悪いゲームでは、背景がどんなに美しくても、魅力は半減してしまうでしょう。

  • ゲームエンジンを扱える

最近のゲーム制作においては、プログラミング言語だけではなく「Unity」や「Unreal Engine 4」といった、ゲームエンジンを利用して制作が進められるのが普通です。

したがって主要なゲームエンジンだけでも扱える必要があります。

  • プログラミング言語の知識

プログラミング言語は自分が携わりたい領域で使用されるものを選んで学ぶといいでしょう。

どの領域にするのか迷っているのなら、とりあえずC言語から勉強を始めるのがおすすめです。

幅広い範囲のプログラミング言語をマスターすれば、仕事の幅もそれだけ広がることになります。

スキルを習得する方法

上に挙げたスキルや技術を習得するには、大きく3つの方法があります。1つ目はゲームを専門に教える専門学校で学ぶことです。

比較的短期間で、ゲームの基礎的なスキルや技術を学べます。2つ目は大学に設置されているゲーム専攻や学科で学ぶ道です。

専門学校よりも学ぶ時間は長くなりますが、将来的にゲームエンジニアよりも川上の職種である、プランナーなどを目指すのであれば、大卒の学歴は有利に働きます。

3つ目は独学でスキルや技術を習得する方法です。スキルや技術が一定の水準に達したら、自分でゲームを制作してゲーム制作会社などが主催する、コンテストに応募して入賞を狙います。

専門学校もしくは大学で学ぶ方法が無難でしょう。理由は設備が整っていることと、求人票が回ってくるからです。これらは独学ではハードルが高くなります。

気になる企業の情報収集


求人票や検索などで気になる企業が見つかったら、その企業の情報を収集してみましょう。

企業研究となるわけですが、外面から調べてもわかりにくいことがあります。それはゲームエンジニアの口コミによる企業の評価です。

その企業にいる人・その職種で働いている人の実際の声を聞くにはGeeklyReviewでチェックすることをおすすめします。

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ゲームエンジニアの可能性は無限大


世界のゲームマーケットは拡大の一途です。今後さらに成長が見込まれるのは、スマホのモバイルゲームと、VRやARの技術を応用したコンシューマーゲームでしょう。

ゲームエンジニアの可能性は、無限大といっても過言ではありません。人間に想像力がある限り、これからも様々なゲームのタイトルが、リリースされることになるでしょう。

ゲームエンジニアが活躍している企業一覧

ゲームエンジニアが活躍している企業一覧は次の通りです。