現代では身の回りのあらゆるものにIT技術が活用されていますが、提供するサービスや商品、技術はさまざまです。
IT業界で働く人といえばパソコンを使用して働く姿をイメージします。しかし、具体的な仕事内容や特徴までを詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、IT業界の分類や代表的な職種、どのような人が向いているのかなどを解説しています。
これからIT業界で働いてみたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
IT業界の現状と特徴
経済・社会のデジタル化が進んだ影響で、IT業界は市場規模が年々拡大しています。
ここ数年でもさまざまな新しい技術が登場し、話題になりました。
- インターネットで情報・データを管理するクラウドサービス
- 大量のデータを分析して情報を活用するビッグデータ
- 人間が実現するさまざまな知的行動を人工的に再現するAI(人工知能)
- 高速大容量・低遅延・多接続性を実現した通信システム5G
これらの最先端技術を使用したサービスの実用化も増えており、IT業界の市場は今後も拡大し続けるとみられています。
IoTやクラウド化などが取り入れられる一方で、既存のシステムから脱却できていない企業も多く存在します。
古いシステムを保守・運用するために貴重なIT人材が割り当てられているため、日本では人材不足が慢性化しているのが現状です。
IT業界の代表的な5つの分類
「IT業界」とひとくちにいっても、提供するサービス内容や技術はさまざまです。ここでは、IT業界における代表的な5つの分野について説明します。
インターネット・Web
1990年代後半に爆発的に普及したインターネットは現代社会や生活に欠かせないものとなりました。
インターネット・Web業界はその名の通りインターネットを利用したWebサービスを提供しています。
インターネットは「情報通信網」を指しますが、Webサービスと組み合わせることでさまざまなビジネスが生まれました。
- ポータルサイトやSNSなどのメディアサービス開発
- EC(e-commerce)事業
- インターネット広告を利用した集客支援
- ソーシャルゲーム開発
- 企業のWebサイト制作
- Webサービス・モバイルアプリの開発
インターネット・Web業界の代表的な職種として下記の4つがあります。
- Webディレクター:Webサイト制作で全体を指揮する
- Webライター:Webサイトに掲載する記事を執筆する
- Webデザイナー:Webサイトのデザインをする
- 動画クリエイター:動画コンテンツを制作する
ソフトウェア
パソコンやスマートフォンを使用して操作するソフトウェアやアプリケーションの開発を行うのがソフトウェア業界です。
どんなにハイスペックなパソコンがあっても、ソフトウェアがなければ動かすことができません。
また、「ソフトウェア」とひとくちにいっても「インストール型」や「クラウドサービス型」などさまざまで、主に下記の5つがあります。
- OS(オペレーティングシステム):アプリケーションソフトウェアを動作させるための基盤
- アプリケーションソフトウェア:コンピューター上で特定の機能を動作させるためのソフトウェア
- デバイスドライバ:コンピューターの内部に組み込まれている装置や外部接続された機器などを制御する
- ミドルウェア:OSとアプリケーションソフトウェアをつなぐソフトウェア
- ファームウェア:IT機器に組み込まれているシステムを制御するソフトウェア
ソフトウェア業界の代表的な職種は下記の4つです。
- システムエンジニア(SE):クライアントの要望に沿ってシステムの規格・設計を行う
- プログラマー:SEが設計したシステムをプログラミングによって実装する
- ネットワークエンジニア:ネットワークの構築・保守・管理を行う
- ITコンサルタント:IT技術を活用してクライアントの課題解決策を提案する
ソフトウェア業界は職種の線引きが曖昧なため、企業によっては担当する職務が重複する場合もあります。
ハードウェア
ハードウェアには機械・装置・設備という意味があります。ソフトウェアがあっても通信するための機器がなければ使うことができません。
「IoT(Internet of Things)」という言葉を聞くことが増えました。モノのインターネット化と呼ばれ、パソコンやスマートフォンだけでなく身近な家電がインターネットに接続されています。
コンピューターやスマートフォンなどを構成する電子回路や周辺機器のほか、インターネットやITを活用するために実際に手に取って操作するものを作るのがハードウェア業界です。
ハードウェア業界で扱う機器は下記のようなものがあります。
- 情報端末:パソコン・スマートフォン・タブレットなど
- パソコン周辺機器:プリンター・スキャナー・サーバーなど
- 家電:テレビ・冷蔵庫・エアコン・ゲーム機など
ハードウェア業界の代表的な職種は3つあり、この他にも機械設計・構造設計・図面管理などの職種があります。
- ハードウェアエンジニア:電子回路や電子機器の設計を行う
- 組み込み系エンジニア:ハードウェアに組み込むためのプログラムを作る
- セールスエンジニア:営業職とIT技術者の両方を兼ね備える
通信
今や生活に欠かすことができない電話・インターネット・光回線などの通信インフラを扱うのが通信業界です。
固定電話のような固定通信、スマートフォンでの通信やWi-Fiなどの無線通信、海底ケーブルや衛星を使用した通信など、さまざまな手段でネットワーク環境を支えています。
- 通信インフラの設計・構築:通信回線や交換機、ネットワーク機器などの設計・構築を行う
- コンシューマー向け企画営業:一般消費者向けの通信サービスや付加価値サービスの規格
- ネットワーク設備の設計工事:企業向けの信頼性を考慮したネットワーク設備の設計
- インターネット環境の保守運用:インターネット回線の維持・拡張
- IoTを活用したビジネス開発:IoT技術を活用した新しいビジネスモデルの企画・開発
- 次世代通信技術の研究・開発:6Gなど5Gの次世代通信技術の研究・開発
通信業界の代表的な職種は4つあります。
- ネットワークエンジニア:ネットワークの企画・設計・開発・監視・保全などを行う
- システムエンジニア:営業・IT・人事・会計など企業向けのシステムやソフトウェアを企画・開発する
- セールスエンジニア:営業担当に同行してクライアントの要望や課題をヒアリングして提案し、契約獲得を技術面からサポートする
- データサイエンティスト:ビッグデータからクライアントのニーズに合うデータを取得し解析を行う
情報処理サービス
情報処理サービス業界は企業や団体からの依頼によりデータ収集・加工・解析などを行っています。
あらゆる業界・業種の企業の業務を円滑に進めるために独自のシステムを企画・構築し、運用するまでを一貫して請け負うことが多いです。
BtoCサービスを展開する企業からの注目度が高く、ユーザーの購買行動・異動履歴・Webサイトの訪問導線といったデータ分析依頼が増えています。
情報処理サービス業界の主な職種は下記の4つです。
- システムエンジニア:クライアントの課題を解決するためのシステムを設計する
- アプリケーションエンジニア:ソフトウェアの設計を行う
- インフラエンジニア:ネットワーク設備やサーバー設計などを行う
- 保守運用:安定したシステムを稼働させるためにシステム監視やトラブル対応を行う
情報処理サービス業界の働き方には特徴があります。「客先常駐」と「受託開発」の2種類に分けられ、割合は8:2で客先常駐の場合が多いです。
客先常駐の場合は顧客ごと・案件ごとで仕事を進めるため、プロジェクトごとに勤務先が変わります。
短期間で勤務先が変わる場合もありますが、いろいろな現場を経験できるため大幅なスキルアップが望めます。
IT業界の実際の仕事事情を知りたいなら口コミサイトを活用しよう
IT業界には上記のように代表的な5つの分類がありますが、実際には同じ業界でもさらに細分化されます。
同じサービス分野でも企業によって業務内容が大幅に異なる場合もあります。実際の仕事事情を知りたい場合は口コミサイトを活用しましょう。
GeeklyReviewにはIT業界で働く社員のリアルな口コミがたくさんあり、実情を調べるときにも参考になります。
下記のリンク先でぜひチェックしてください。
IT業界で働くメリット
IT業界で働いてみようと思ったとき、将来的に長く勤めることを考えるとどのようなメリットがあるのか気になる方も多いと思います。
プロジェクトが順調に進んでいればノルマに追われることがないなど、IT業界で働くメリットはたくさんあります。
なかでも下記の2つがIT業界で働く大きなメリットです。
給与が高い
IT業界の年収は他業界に比べて高い傾向にあります。
2017年に発表された経済産業省による「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると新人でも年収437.8万円です。
一般的な企業では年齢・学歴・経歴などが重視されますが、IT業界で最も重視されるのはスキルです。
若者の柔軟な発想が仕事に役立つ場面も多いため、20代の若い世代でも比較的給与が高い傾向にあります。
性別もIT業界では関係ありません。実力があり貢献度が高ければ女性であっても男性より早い昇給や昇進のチャンスがあります。
時間と場所を選ばず仕事ができる
IT業界の仕事の多くは、パソコンがありインターネット環境が整ってさえいればオフィスでなくても仕事ができます。
在宅勤務にも向いており、自分の好きな場所で働くことができます。
小さな子供や介護が必要な家族がいる場合も在宅勤務で仕事を続けることも可能なため、プライベートな事情でキャリアを諦める必要がありません。
満員電車に乗る必要もなく、自分のペースで業務を進めることができるのはIT業界で働く大きなメリットです。
IT業界を目指すには?
企業によって中途採用に求めるスキルや経験は異なりますが、異業種からの転職や業界経験が浅い場合は年齢が若いほど有利です。
比較的採用されやすい職種を目指すのも1つの手段です。
ソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア、ネットワークエンジニアなどがあてはまり、未経験者の場合は入社後に研修が用意されている場合もあります。
ITスキルの証明になる「ITパスポート」や「基本情報技術者」などの資格を取ると面接でアピールできます。
IT業界に向いている人の特徴
IT業界で働いてみたいけれど自分が向いているのかどうかわからない、と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
転職してから後悔することがないよう、適性があるか下記の3点をチェックしてみましょう。
IT業界に興味がある人
「将来性がある」「人と関わることが少なそう」といった漠然としたイメージでIT業界を目指した場合は、理想と現実のギャップにより挫折する可能性があります。
まずは、IT業界に興味があることが大前提です。同様にパソコンの操作に抵抗がないことも重要です。
向上心がある人
IT業界を取り巻く環境は日々変化しているため、最新の技術や業界のトレンドに触れスキルのアップデートを続けなければなりません。
Webデザイナーなどはクライアントに要望をヒアリングするなど営業職の要素もあるため、コミュニケーション能力が必要です。
仕事に必要なスキルを身に着けようとする向上心がある人が向いています。
柔軟性がある人
IT業界では市場規模が年々拡大し、新しいビジネスモデルが次々に登場しています。業界を取り巻く環境に適応するためには柔軟性が重要です。
プログラマーやエンジニアの場合、すでに習得したスキルに固執することなく新しい技術を取り入れていく必要があります。
IT業界に興味があるなら現場の声を調べてみよう
情報収集をしてイメージした内容と実際の現場ではギャップがあるものです。
IT業界に興味がある場合は、まず口コミサイトで現場で働く社員の声を調べてみましょう。
GeeklyReviewにはIT業界で働く社員の口コミがたくさんあり、現場のリアルな声がわかります。
下記のリンク先でぜひチェックしてください。
IT業界の将来性に迫る
IT業界は時代の最先端を行く分野であり、ビジネスシーンにおいてIT技術の役割は年々重要になっています。
現代社会において、インターネットやWebサービスを一切使わずに仕事をする企業は少ないのではないでしょうか。
IT技術はあらゆる業種・分野に展開することができるため、インターネットを利用して仕事をする企業の数だけ新しいビジネスモデルが生まれる可能性があります。
インターネット・Web業界以外にもIT業界にはさまざまな分野があるため、今後も爆発的な成長が見込まれます。
慢性的な人手不足から1年を通して多くの求人があり、転職先の選択肢も多いです。
Geekly Reviewの口コミをチェックして業界研究をしっかり行い、自分に合った企業を探してみましょう。
企業一覧
GeeklyReviewでは下記のような企業で働く社員の生の声を見ることができます。
この記事の監修者

ギークリーメディア編集部
主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。