エンジニアが転職するにあたり、自分の市場価値を高めておくことは、選択肢を広げる意味でも重要なことです。

市場価値を高めるために磨くべき要素は複数あり、日頃から意識して仕事に取り組む必要があるでしょう。

ここではエンジニアが市場価値を高めるために必要なこととともに、転職活動において評価される人材像についても説明します。

自分の市場価値が知りたい人は多い


転職活動を始めるにあたり、自分の市場価値を知りたい人と考える人が多いのは当然のことです。

特にITエンジニアは売り手市場ではあるものの、新たな技術が次々と開発・導入されるため、ニーズの変化が激しい業界でもあります。

業界で求められるスキルや技術が短期間に変わるため、自分がどのように評価されるのかを見極めたい人が増えていることが理由です。

市場価値が高ければより条件の良い転職がしやすく、年収アップにもつながります。

市場価値が高い人はどんな人?


市場価値が高いエンジニアには、以下のように共通する特徴があります。

  • 仮想思考力がある人
  • 課題解決力がある人
  • チームビルディングが得意な人

上記の特徴を持つエンジニアは技術者としてだけでなく、リーダー・マネージャーとして採用される可能性が高まるのです。ここでは3つの特徴について、より具体的に説明します。

仮想思考力がある人

仮想思考力とは課題解決に必要な情報収集を行ったうえで仮説を立て、検証・実行を経てより効率的な回答を導くために必要なスキルです。

エンジニアだけでなくコンサルタントでも重視されるスキルで、仮説を検証する過程でムダを省くことができ、業務効率向上につながります。

また仮想思考力を磨くことで情報収集の有益性が高まると、仕事の質も向上します。

課題解決力がある人


課題解決力とは仕事を進める中で課題を発見し、それを解消する方法を考えて導くスキルです。

クライアントに喜ばれる製品やサービスを提案したり、社内外で協働する際の問題点を解決できたりと、様々な場面で必要となるスキルといえます。

課題を解決する過程で様々な人とコミュニケーションを図る、あるいは論理的に思考するなどのスキルも必要です。

また課題解決に取り組んで失敗しても、そこから学んで次に生かせる行動力も、課題解決力に欠かせないスキルといえるでしょう。

チームビルディングが得意な人

チームビルディングとは、関わるメンバーの経験・能力を最大限に引き出しながら、パフォーマンスが高いチームを作ることです。

大きな案件に携わるエンジニアは特に、自分だけでなく組織全体の生産性を上げることを意識しながら働くことを求められます。

関わるメンバーが主体的・自律的に行動するチームを作るためには、リーダーシップが不可欠であり、市場価値が高いスキルでもあるのです。

チームメンバーの信頼関係構築のために積極的にコミュニケーションを図る・業務の目標や価値観を共有する・ミッションと役割を明確にするなど、チームビルディングには様々な段階があります。

チームビルディングの過程でプロジェクトが抱える問題を表面化させることもできるため、市場価値が高いです。

市場価値は3つのスキルで判断できる


ハーバード大学の教授であるロバート・カッツ氏は1955年に「カッツモデル」を発表し、ビジネススキルは以下の3つに分類されると提唱しました。

  • ヒューマンスキル
  • テクニカルスキル
  • コンセプチャルスキル

転職を希望するエンジニアの市場価値も、上記3つのスキルで判断できるのです。ここではカッツの3能力とも呼ばれる3つのスキルについて詳述します。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルは対人間関係能力とも呼ばれる、他者と良好な関係を築くうえで欠かせない能力のことです。

協働する上司や仲間、クライアントに至るまで関わる様々な人と円滑な関係を築き、意思疎通を図るうえで欠かせないコミュニケーションスキルが含まれます。

またプロジェクトを進行するにあたり、協働する人と良好な関係を保ちつつ交渉・調整する能力も、ヒューマンスキルの1つです。

テクニカルスキル


テクニカルスキルは業務遂行能力とも呼ばれ、エンジニアとして業務を行ううえで欠かせない知識と技術を意味します。

転職をするうえで応募する企業が求めるテクニカルスキルが必要なことは、いうまでもありません。

エンジニアは分業化が進み、専門分野も多岐にわたるので、キャリアアップを目指すなら今できることではなく、将来のために新たなスキルを身につけることも大切でしょう。

コンセプチュアルスキル

コンセプチャルスキルは概念化能力と表現されることが多い、物事を俯瞰的・体形的に捉え本質を把握する能力のことです。

複雑な出来事を概念化するためには、知識や情報を体形的に組み合わせたり、合理的に整理・判断したりする必要があります。

コンセプチュアルスキルが身についていると、正解のない問題に直面した場合にも、解決するためのプランや計画を提案できるようになります。

特にマネージャーなど管理職を目指す人には欠かせないスキルであり、市場価値を高めるうえで重要なスキルです。

企業によって人事評価のポイントも異なるので、転職経験者の口コミサイトを参考にしてみるのもおすすめです。

企業の人事評価について調べる

自分の市場価値を知りたいなら口コミサイトの活用を


自分の市場価値を知りたいなら、口コミサイトを活用することをおすすめします。

口コミサイトは在職中もしくは退職した社員が投稿した、入社した企業に関するコメントを閲覧することを目的に利用する人が大半でしょう。

投稿されたコメントには勤続年数や担当部署・職種、年齢とともに目安の年収が記載されていることも多いので、自分のスキルがどの程度評価されるかを知る手がかりにもなるのです。

この他にも転職サイトに登録してスカウトを待つ・転職エージェントに相談してキャリアアドバイザーに市場価値を判断してもらう方法もあります。

今後市場価値が高まる人材とは?


今後エンジニアとして市場価値が高まると考えられるのは、以下の人材です。

  • コンセプチャルスキルに秀でている
  • マネジメントスキルを有している

企業が中途採用者に対して上記の人材を求めるのには、しっかりとした理由があります。

ここでは今後、どのような人材の市場価値が高まるかについて具体的に説明します。

コンセプチュアルスキルに秀でた人

エンジニアを中途採用する企業がコンセプチュアルスキルに秀でた人を求めるのは、将来の管理職に不可欠な能力だからです。

コンセプチュアルスキルに秀でた人はクライアントのニーズにいち早く気づく・新たなビジネスモデルを構築する・組織をマネジメントできるなど、多くのメリットを享受できます。

コンセプチャルスキルは様々なビジネスシーンにおいて活用できる能力であり、次章で説明するマネジメントスキルの向上にもつながるのです。

マネジメントスキルがある人


マネジメントスキルとは事業計画を遂行するため、モノ・人材・資産を管理する能力を指します。

エンジニアの場合はキャリアアップの過程でプロジェクトマネージャーの経験を積むことも多く、専門スキル以外に高いコミュニケーションスキルが不可欠です。

上記以外にも仕事に対して具体的なビジョンを持つ・部下の特徴を理解し導く・原価管理をしっかり行うスキルが求められます。

カッツモデルではヒューマンスキルとコンセプチャルスキルが特に重要で、経営的視点を磨く・問題解決能力を高める・コミュニケーションスキルを向上させるのが早道です。

自分の市場価値を高めるために必要なこと


エンジニアがキャリアアップを目指すなら、転職活動を始める前に市場価値を高める努力をしておきたいところです。

仕事を行う際の心がけ次第で、自分の市場価値を高めることはできます。

ここでは自分の市場価値を高めるためにも、日頃から意識してほしいことを説明します。

主体的に動き成果を上げる

自分の市場価値を高めたいなら主体的に行動し、成果を上げることが大切です。そのためにもPDCAを意識する・新しいスキルに挑戦することをおすすめします。

仕事に取り組む際にPlan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)のサイクルを継続することで、業務改善を習慣化することが可能です。

そのうえでOODAと呼ばれるObserve(観察)・Orient(状況判断)・Decide(意思決定)・Act(実行)のサイクルに移行できると、よりマネジメントスキルが向上します。

またプログラムが書けるだけのエンジニアでは希望の転職が難しいため、スキルの幅を広げる意味でも新しいことを学ぶことも大事です。

市場価値を高める意味でもIT系の難関資格を取得し、スキルアップを図るのもよいでしょう。

チームでの成果を意識する


自分のヒューマンスキルやコンセプチャルスキルを向上させる意味でも自分個人ではなく、チームでの成果を日頃から意識したいところです。

大きなプロジェクトを完遂する際には他の部署とも協働する必要があり、配属されたグループを同じ目的を達成するチームに変えるスキルが必要となります。

管理職を担うエンジニアは、組織の成果を最大化することを求められます。その実現のためにも、関わるメンバーが相乗効果を生むチームビルディングの観点が大切です。

チームで成果を上げるために主体的な行動をする中で、リーダーシップも磨かれていきます。

社会人基礎力をつける

エンジニアとしてキャリアアップにつながる転職を実現するためには、社会人基礎力を身につけておくのが基本です。

経済産業省が2006年に発表し、2018年に改定した社会人基礎力には、以下の3つの要素があります。

  • 前に踏み出す力
  • 考え抜く力
  • チームで働く力

これまで紹介してきた市場価値を高めるスキルと、共通していることがわかります。

前に踏み出す力は周囲を巻き込みながら主体的に行動する・考え抜く力は問題を発見し解決する・チームで働く力は多様な人と協働するために必要です。

3つの力を養うためには自分を客観視する・日々の中で業務改善を意識する・常にフィードバックを怠らない気持ちが大切だと考えられます。

市場価値を高めたいなら企業との相性も大切


転職活動において自分の市場価値を高めたいと考えているなら、応募する企業との相性にも配慮することが大切です。

エンジニアと一言でいっても、企業や募集している部署によって必要とされるスキルが異なるため、同じ応募者に対する評価は異なるからです。

またプロジェクトリーダー・マネージャーの経験があるなど、必要とされる技術が十分でなくても、評価が高くなるケースもあります。

多少スキルや経験が足りなくても、自社の社風に合っていれば採用する企業もあるので、しっかり企業研究を行ったうえで応募しましょう。

企業研究を行ううえで、エンジニアに特化した転職サイトの口コミ情報をチェックするのも有効です。

人事評価の適正感を調べる

自分の市場価値を高めて転職に活かそう


エンジニアが転職活動を始めるのは、キャリアや年収をアップしたいなど目的があってのことです。

しかし自分の希望の転職を実現するためには、転職市場における自分の価値を上げる必要があります。

エンジニアとしての経験とスキルだけでは足りないケースもあるので、日頃から自分の市場価値を高める意識をもって仕事に取り組むことが大切です。

自分が担当した業務内容だけでなく、職場での役割においてもアピールできるように主体的に仕事に取り組み、転職活動に役立てましょう。

人事評価の満足度が高い企業一覧

GeeklyReviewでは下記のような人事評価の満足度が高い企業のリアルな口コミを見ることができます。