3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)は今や映画やゲームの世界でなくてはならない存在です。
3DCGの適用される現場はさらに広がり、車や機械の設計にも用いられており需要はどんどん広がりつつあります。
今後も発展が期待される3DCG技術ですが、それを操るオペレーターの待遇は決して良くなく「きつい」仕事だという噂も流れています。
これは本当のことでしょうか。実際は業界や各々の会社によって待遇はさまざまでしょう。
ここでは3DCGデザイナーの口コミをもとに仕事がきついといわれる理由や年収事情を、やりがいや喜びと共に紹介します。
3DCGデザイナーが担当する業務とは
3DCGデザイナーとは、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)技術を使ってデザインを行う職業です。
アニメやゲームの中のキャラクターはもちろん、細かいアイテムや背景なども3DCG技術を使って立体的に表現します。
3DCGの工程は細かく細分化されており、それぞれの工程に専門家が存在します。代表的な工程とそこで活躍する専門家は下記の通りです。
- モデラー(キャラクターや小物の形状を作る)
- リガー(キャラクターに動きを付けられるように「骨」を入れる)
- アニメーター(キャラクターに動きをつける)
- エフェクトアーティスト(作品にさまざまな映像効果を与える)
3DCGデザイナーの仕事はきつい?
3DCGデザイナーは、納期などさまざまな条件のなかで与えられた仕事をこなし、次の工程に引き継いでひとつの映像作品を仕上げて行く仕事です。
そのため、仕事はしばしば「きつい」状態に陥ります。労働環境はかなり過酷な側面がありますが、幸いなことに少しずつ改善されつつある傾向です。
また、働く業界(アニメーション業界・ゲーム業界など)によって、仕事の「きつさ」の程度は異なります。
3DCGデザイナーの仕事はきついといわれる理由
3DCGの仕事で完成したアウトプットは、人間とコンピューターが作った芸術作品です。
職人気質の人や芸術家気質の人が集まってひとつの作品を作り上げるのですから、人間関係のトラブルが起こりやすいのは容易に想像ができます。
しかもこの業界の労働条件は、決して恵まれているとはいえません。要求される高度な技術に見合うだけの給料が払われているわけでもありません。
何よりもこの業界の人を悩ませているのは、長時間労働と納期の厳しさです。
長時間労働が当たり前
3DCG業界の会社は「裁量労働制」を取り入れている場合が多いです。
要求される成果物を仕上げさえすれば、自分自身で労働時間をコントロールできる、一見働きやすい仕組みです。
仕事が佳境に入っているときには長時間労働をすることになります。
そしてゆとりがあるときは仕事を早く切り上げて帰ってもかまわない、という条件で働きます。
問題は「ゆとりがあるとき」が極端に少なく、長時間労働をしなければならない時期がほとんどの場合です。
このような事態は、仕事を始めたばかりでまだ要領をつかんでいない若い3DCGデザイナーにしばしば起こります。
ベテランデザイナーならたとえば3時間の労働で仕上げることができる仕事も、駆け出しのデザイナーなら5〜6時間かけないと完成しないというケースが少なくありません。
駆け出しのデザイナーにとっては長時間労働が果てしなく続く結果になります。
3DCGデザイナーの職場は徹底した成果主義の世界なのです。
納期が厳しい
3DCGデザイナーの仕事は、細かく細分化されています。自分自身の担当部分の納期を守らないと後の工程のデザイナーに迷惑をかけてしまいます。
ただしゲーム関係の仕事をする場合と映像(アニメーション)関係の仕事をする場合では、工程自体のゆとりがまったく違います。
ゲーム関係の仕事では、工程全体に比較的ゆとりがある納期は多少ゆるいのに対して、映像系の仕事の場合の納期は厳しいです。
クライアントからの要望が曖昧
クライアントは漠然としたイメージをもとに作業を依頼します。
その結果、できあがった作品を見て「こんなはずではなかった」とやり直しを指示することもしばしばです。
そのクライアントとの付き合いの長い会社とスタッフなら、クライアントの希望を曖昧な指示から把握することも可能でしょう。
しかし新しいクライアントの仕事を新人のデザイナーが引き受ける場合、繰り返しクレームが入る可能性は否定できません。
そのたびにやり直しが生じて、長時間労働の原因になったりもします。
納期間近に路線変更がかかる場合がある
3DCGデザイナーにとって一番辛いのは、仕事がほとんど完成した時点でクライアントから大幅な方針の変更を告げられることでしょう。
それまで苦労して仕上げた仕事が一瞬で元の木阿弥になって、場合によっては納期直前になって一からやり直し、ということもあり得ます。
極端な長時間労働や納期の厳しさといったこの業界の辛い側面も、こういったところから生まれるのかもしれません。
3DCGデザイナーの実情を知るなら口コミをチェックしよう
3DCGデザイナーの仕事は実際のところどの程度きついのでしょうか?
同じ3DCG業界であってもこの分野なら勤労条件が比較的良い、あるいはこの分野で働くのは気をつけた方が良いといった、情報が知りたいものです。
そのような業務の実情を知りたいのなら、口コミを検索してみましょう。
少し検索するだけで3DCGデザイナーの仕事のきつさや、それをやり過ごして一流のデザイナーになり生き残る方法など、たくさん見ることができます。
GeeklyReviewでもたくさんの会社の口コミを確認して、入社前後でどんなギャップを経験することになるか、知ることができます。
3DCGデザイナーの仕事がきついと思ったときは
あらかじめ労働条件をしっかりと確認して入社したはずなのに、やっぱり3DCGデザイナーの仕事はきつ過ぎると思うことも少なからずあります。
そんなときは、下記の方法を使って少し冷静になりましょう。その上で、今後どうしたら良いかを考えると正しい判断ができるきっかけとなります。
悩みを紙に書き出す・誰かに相談する
悩みをくよくよと考えずに、何らかの形で吐き出してみましょう。安心して相談できる相手がいれば、それが一番良いです。
悩みを相談する相手は友人や親族より客観的な立場で聞いてくれる第3者の方が適切です。
良い相談相手がいない場合は、ご自分の悩みを紙に書いて自己分析してみてください。
ご自分の状態が過労死寸前だと気がついたら、すぐに辞めることを考えましょう。
仕事がどんなに大変でも、この仕事にやりがいやプライドを感じているのなら、まだ続けてみるという選択もあります。
現在の仕事を責任を持って仕上げた後、もっと労働条件の良い職場を探す、というのも選択肢のひとつです。
その後転職する場合、その選択は大きなアピールポイントになるに違いありません。
他の企業と自社を比較してみる
同じ業界の他の企業と比較して、ご自分の勤めている会社がブラック企業かどうかを確認しましょう。
あまりにも労働条件がひどい場合には、もっと労働条件の良い会社に転職することを考えても良いでしょう。
すぐに転職をする予定がなくても、仮の転職活動をすることで、気持ちが落ち着くこともあります。
3DCGデザイナーを必要とする会社は、アニメーション映画など映像作品を作るところと、ゲーム作品をつくるところに大別できます。
両者を比べてみると、映像作品を作る会社にくらべてゲーム作品を作る会社の方が給与レベルも労働条件も良い傾向です。
いずれにしても、他の企業と自分の会社を比較するためには、さまざまな情報を手に入れることが大切です。
視野を広げてみる
視野を広げて、3DCGデザイナー以外の世界に目を向ける、という考え方もあります。
世界にはさまざまな職業・さまざまな会社があります。
少し発想を転換すると、3DCGデザイナー以外にもクリエイターとしての欲求を満たしたうえで、労働条件がもっと良い職業が見つかる可能性もあるのです。
場合によってはそのような業界に転職して、キャリアを最初から築き直すのも良いことです。
3DCGデザイナーのやりがい
ここまで3DCGデザイナーの仕事のきつい側面を紹介してきました。しかしこの業界は決してきついだけ、というわけではありません。
この仕事では大勢の人々が関わってひとつの作品を作り上げていきます。ものを作り出す喜びに満ちた楽しい世界という一面もあります。
作品を作り上げた達成感
自分が関わった作品が完成したときの達成感は、簡単に表現できるものではありません。
制作の過程の苦労が多いほど、それができあがったときの気分は確実に高揚します。
作品は自分たちが育て上げた子供と同じです。そのためすべての苦労を許してあげても良い、という気持ちになってしまうのも当然です。
作品が評価される
アニメやゲーム等、自分が関わった作品が公開されて褒められたとき、これ以上の喜びはありません。
テレビや新聞などの大手メディアに紹介されるのではなくて、SNSなどのネット上や単なる口コミだったとしても、褒められると本当に嬉しいです。
制作の過程が大変で苦労をすればするほど、公開時の評判が良ければ苦労が報われた気分になって、大きなやり甲斐を感じるでしょう。
エンドロール等に自分の名前が載る
映画・アニメ・ゲームなどの作品にスタッフとして関わった場合、エンドロールに自分の名前がスタッフとして掲載されます。
関係したのがほんの一部分に限られていてもです。
表示されるのがほんの一瞬だとしても、名前が載るというのはうれしいことです。家族や友人に自慢することもできます。
3DCGデザイナーを目指すなら現場の声を見てギャップをなくそう
3DCGデザイナーとして映画・アニメ・ゲーム業界で活躍するためには、形あるものを生み出すことに喜びを感じるタイプであることが大切です。
この業界は、新人のうちから安定した勤労条件で働けるような、生易しい業界ではありません。
現在第一線で活躍中のある3DCGデザイナーは「労働条件を気にするようなタイプの新人は、この世界で一人前になることは難しい」といっています。
日々技術を磨き、実績を作り、キャリアが認められるようになってはじめて人並みの勤労条件で働けるようになるのです。
実際に映像制作の現場で働く3DCGデザイナーに会う機会があったら、そのことを確認してみてください。
たとえ直接面識がないとしても、ネットの世界には現役の3DCGデザイナーたちのリアルな声があふれています。
「それでもやはりこの業界で働きたい」と考えるあなたには、3DCGデザイナーの適性が備わっているのかもしれません。
GeeklyReviewでも、入社した途端「こんなはずではなかった」と感じる企業のランキングと、現役3DCGデザイナーの口コミが見れます。
3DCGデザイナーはきついがその分やりがいのある仕事
3DCGデザイナーはきつい職業です。しかしそれと同時にものを作り出すという喜びに満ちた、やり甲斐のある仕事です。
いろいろな意味でもっと評価されても良い職種といえます。幸いなことに今日では、悪かった労働条件も少しずつ改善されています。
専門学校を卒業したばかりの若いクリエーターも安心して働ける会社が、少しずつ増えているのです。
入社前後のギャップが少ない企業一覧
GeeklyReviewを見ると、入社後の後悔が少なく安心して技術を磨くことに専念できる会社が、たくさん載っています。
この記事の監修者

ギークリーメディア編集部
主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。