IT業界の経験のある方なら、アプリケーションエンジニアという単語を聞いたことがあるかもしれません。
そうでない方は、アプリケーションつまりアプリということで、スマートフォンの搭載するアプリを専門に作るシステムエンジニア(SE)を連想するでしょう。
確かにスマートフォンのアプリを専門に担当するソフトウェアエンジニアは、アプリケーションエンジニアの類型のひとつです。
しかしアプリケーションエンジニアはもっと広い意味を持っています。
今回は、アプリケーションエンジニアについて、さまざまな角度からもっと詳しくご紹介します。
アプリケーションエンジニアの仕事内容
アプリケーションエンジニアの「アプリケーション」の意味はスマートフォンの「アプリ」より、もっと広い意味を持っています。
アプリケーションの意味は「何らかの目的のために作られたソフトウェアのすべて」です。
アプリケーションには、スマートフォン上だけでなく、パソコン上やWebの世界で動くソフトウェアも含まれています。
そして、さまざまなアプリケーション構築に係る仕事を担当するすべてのシステムエンジニアは、アプリケーションエンジニアと呼ばれています。
アプリケーションエンジニアは、アプリケーション開発のはじめからおわりまでのすべての段階に関わるシステムエンジニアです。
アプリケーションエンジニアはシステム開発の上流工程を中心に担当する一般的なシステムエンジニアと異なります。
すなわち、アプリケーションの要件定義からはじまって、仕様の設計・開発・テストを担当し、最後は運用・保守にも関係します。
アプリケーションの種類
アプリケーションエンジニアの担当するアプリケーションは、利用対象や方法によって、さらに3つのタイプに分かれます。
業務系アプリ・Web系アプリ・スマホアプリの3種類です。
業務系アプリ
業務系アプリは、企業が抱えている経営課題や業務効率化の問題を解決するために構築される情報システムです。
アプリケーションシステムには、人事システムや会計システムなどクライアント企業の基幹システムがまず該当します。
それだけでなく、同じ企業の一般ユーザー部門で業務を自動化・効率化するために導入するさまざまなアプリケーションソフトも該当します。
多くの方々が仕事でお世話になるExcelなども、この業務系アプリの一種です。
Webアプリ
Webアプリはパソコンやスマートフォンにインストールせずに、Webブラウザ上で使用するアプリケーションのことです。
TwitterやFacebookなどのSNS・Amazonや楽天市場などのオンラインショッピングなどが代表的な例です。
スマホアプリ
スマホアプリはその名の通り、スマートフォンにインストールして使うアプリケーションのすべてが該当します。
多くの方々にとって、今日ではパソコンでWebを見るよりむしろ、スマートフォンをのぞいてさまざまな用事を片付けることが多いです。
スマホアプリは今日最も注目されている分野であり、今後も大きな需要が見込まれる分野でもあります。
アプリケーションエンジニアの年収と残業時間
アプリケーションエンジニアの年収の平均は450万円前後で、全業種の平均値に近いです。
ただし当然のことですが、年収には年齢差・個人差・勤めている会社の給与体系による差があります。
一方アプリケーションエンジニアの残業時間は平均で月30時間弱というデータがあり、これも全業種の平均値と大きな差はありません。
SEというと残業時間の長い重労働の職種というイメージがありますが、これは意外な結果です。
業界のブラック・イメージを払拭するために、各々の会社ができるだけ残業を少なくする取り組みをしている成果といえるでしょう。
具体的には完全週休2日制を実施したりフレックスタイム制を導入したりなどがあげられます。
Geekly Reviewでは、労働条件のしっかりしたホワイト企業をリストアップしています。あなたが興味を持った企業がどのような会社か、まず確認してみましょう。
アプリケーションエンジニアに必要なスキル
アプリケーションエンジニアに必要なスキルは多岐に渡ります。
開発に必要なネットワークやデータベースに対する知識と共に、対象業務そのものの知識や開発に用いるコンピューター言語の知識が必要です。
開発に用いるコンピュータ言語は、アプリケーションのタイプによって異なることに注意してください。
業務系アプリ
業務系アプリの場合、対象となる業務そのものに対する深い理解が必要です。
開発に必要なコンピューター言語としてはJava・C・C++・C#などがよく使われています。
変わったところでは、レガシーシステムと呼ばれる古い基幹システムの保守のために、古い開発言語であるCOBOLが必要になる場合もあります。
Webアプリ
Webアプリの場合は、フロントエンドとバックエンドで使用するコンピュータ言語が異なります。
フロントエンドはユーザーに見える部分、すなわち各々のWebページを組み合わせて意図通りに稼働させる仕組みを作る部分です。
フロントエンドでよく使われるコンピュータ言語はHTML・CSS・JavaScript・PHPなどです。
フロントエンドの部分の開発はWebエンジニアだけでなく、プログラミングの心得があるユーザーが直接行なう場合もあります。
一方のバックエンドは、サーバーの構築や運営など直接ユーザーには見えない部分です。
バックエンドでよく使われるのはJava・C・Ruby・PHPなどの言語です。
またバックエンドではサーバーそのものやMySQLなどデータベースそのものに関する知識が不可欠になります。
スマホアプリ
スマホアプリを構築するときに必要な言語は、OSにより完全に異なります。
OSはiPhoneで使われているiOSと、Android端末で使われているAndroidに大別できます。
iOSの場合はSwiftやObjective-C、Androidの場合はKoutlinやJavaが使われます。もちろんiOSやAndroidそのもの、つまりOSに関する知識も不可欠です。
アプリケーションエンジニアに役立つ資格
アプリケーションエンジニアになるために取得しなければならない資格は存在しません。
転職に際しても、自分の実力を先方に認めさせることができれば何も問題はありません。
それでも自分の実力を信用してもらうために、取得しておけば有効な武器になる資格がいくつかあります。
もちろん自己啓発のため関連業務の資格試験合格を目指すのは、すばらしいことです。
このような資格の最も代表的なものとしてシステムアーキテクト試験とAndroid技術者認定試験をご紹介します。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験のひとつです。
情報処理技術者試験は国家試験で、さまざまな情報処理関係の試験の中では日本で最もよく知られ・信用されています。
システムアーキテクト試験はシステム設計に関するさまざまな技能を問う技能を問う試験で高度区分に属しています。
特に業務系アプリを担当するアプリケーションエンジニアにとっては、取得しておいた方が望ましい資格といえるでしょう。
システムアーキテクト試験の難易度はとても高く、合格率は10%台です。
いきなりこの試験を受ける自信がない方は、同じ情報処理技術者試験の基本情報技術者試験と応用情報技術者試験にまず挑戦しましょう。
Android™技術者認定試験
一般社団法人IT職業能力支援機構が実施する試験です。
この試験に合格すると、Androidでアプリを開発する技術者としての能力が上記の機関により認定されます。
Android™技術者認定試験にはアプリケーション技術者試験とプラットフォーム技術者試験の2種類が用意されています。
どちらの場合もベーシックとプロフェッショナルの2段階があるので、まずベーシックからチャレンジしてみましょう。
スマホアプリ、特にAndroidで開発を行なうアプリケーションエンジニアにとって、取得しておくと実力の証明になります。
海外でも試験を実施しており、世界で通用する資格です。
アプリケーションエンジニアから目指せる職業
アプリケーションエンジニアの次に目指すべきキャリアといえば、PM(プロジェクトマネージャー)やITコンサルタントをあげることができます。
もちろんアプリケーションエンジニアとして技術を極めてフリーランスのエンジニアとして独立するというキャリアパスも考えられます。
PM
PMとはプロジェクトマネージャーのことで、プロジェクト全体を取りまとめ、部下のSEやプログラマーなどを監督するのが仕事です。
開発計画の立案に関わった後、プロジェクトがはじまったら全体の進捗を管理して、開発後は結果の評価を行なうのが具体的な業務です。
アプリケーションエンジニアのときよりコミュニケーション能力やマネジメント能力が必要になります。
管理職として部下の管理を行ったり、クライアントとの折衝に加わるなどの機会が多くなるからです。
アプリケーションエンジニアを勤め上げたあと、社内で待っている次のキャリアがPMというケースは、案外多いのではないでしょうか。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアント企業の経営上の問題をITシステムを使って解決するための提案を行なうのが仕事です。
ITコンサルタントには、SEとしての豊富な経験に加えて、経営者の視点を理解して問題を解決するために、経営に関する知識が不可欠です。
それに加えて問題解決能力やコミュニケーション能力、プロジェクトを取りまとめるマネジメント能力など幅広い能力が必要になります。
Geekly ReviewではPMを必要としている会社やITコンサルタントが勤めるコンサルタント会社の一覧も見ることができます。
今後どういうキャリアパスが開けているかを確認するために、こちらの方面も確認してください。
アプリケーションエンジニアに向いているかどうか知りたいなら
アプリケーションエンジニアは一般のシステムエンジニアと異なり、自らプログラミングを担当することもあります。
したがってプログラミング作業でパソコンに向かうのが苦にならない人には、アプリケーションエンジニアの適性があります。
ただアプリケーションエンジニアは、漫然とプログラミングを行なうだけでは仕事になりません。
プログラムの仕様書を書く機会のあるアプリケーションエンジニアは、効率のよいプログラムを常に考えながら仕事をするべきです。
そして効率化を常に考えながら仕事ができる人にも、アプリケーションエンジニアの適性があるといえます。
アプリケーションエンジニアは今後も引く手あまた
IT業界は慢性的な人材不足です。特にアプリケーション開発の市場は日々拡大を続けており、人材のニーズは常にあるといっても過言ではありません。
しかしIT業界の技術の進歩は速いです。
アプリケーションエンジニアとして働くことを希望しているのなら、日々新技術のキャッチアップを忘れてはいけません。
それさえ忘れなければ優秀なアプリケーションエンジニアは引っ張りだこで、転職は比較的容易です。
現在のITの発展スピードを考えたら、転職好景気はまだ続くはずです。
そのため現在の職場の待遇に不満があったり、技術者としてのキャリアアップに挑戦できる新しい職場を探すのもおすすめです。
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この記事の監修者

ギークリーメディア編集部
主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。