客先に常駐して業務を行う客先常駐という働き方があります。自社ではなく客先で仕事をするメリット・デメリットはどんなものがあるのでしょうか。

また、客先常駐という働き方に興味があっても、人によって向き・不向きがあります。興味があって客先常駐を視野にいれたとき、企業選びで気を付けるポイントも併せて紹介します。

客先常駐とは?


「客先常駐」という言葉は、IT業界でよく耳にする言葉ですが、IT業界だけの仕組みではありません。

客先の人材不足・技術力を補うため、客先に常駐して働くという勤務体系の1つであり、働く場所が客先・クライアント先であれば客先常駐になります。

客先常駐では毎日客先に出社し、クライアントと一緒に仕事をします。所属会社に出社する機会は少ないですが、所属会社の社員であるため給与や昇給は所属会社から行われる仕組みです。

IT業界には客先常駐が多い


客先常駐はどの業界でもあり得るものです。しかし、客先常駐が多い業界としてIT業界が挙げられます。その理由はいくつかあるので紹介します。

IT業界での客先常駐の主な業務は、客先の要望に合わせたシステム作り・運用・保守です。

その中でシステムトラブルなどの緊急時、客先に常駐していることで迅速に対応することが可能です。

また、客先の中には外部に持ち出せない機密情報もあります。そこで客先としては、自社のオフィスで自社のルールに則り業務を行うエンジニアは心強い存在になります。

客先常駐のメリット


顧客側・クライアント側として、常駐のエンジニアがいるメリットが理解できたかと思います。

では、客先に常駐する人のメリットはあるのでしょうか。こちらもいくつかありますので紹介します。

多様な職場で経験が積める

客先常駐の期間は客先により異なりますが、大抵が半年〜数年になります。そのため数年のスパンで職場が変わり、その結果さまざまな職場・企業・業界を経験することが可能です。

私たちの生活をみてもITシステムが活用されているシーンをよく目にします。意識して生活の中のITシステムを探してみるとその多さに驚きます。

つまりそれだけITシステムを使用している業界・企業が多いということであり、経験を積む場があるということです。

また、客先常駐は自社以外の人たちと関わることができ、職場が変わる度に新しい人間関係が構築できることも魅力の1つです。その業界に特化した専門の人と知り合う機会もありますし、同じエンジニアとして高め合える人と知り合う機会もあります。

人と出会うことは今後の人脈作り、キャリアアップにつながるだけでなく、コミュニケーション力など自分自身の成長にも期待できます。

未経験でも入社しやすい傾向にある


客先常駐のエンジニアの募集は「未経験可」「未経験歓迎」のものもあります。しかし、未経験で客先に常駐するには不安があるかもしれません。

これは客先常駐のエンジニアは人手不足の状態のため、採用した後に研修・教育を行い、客先に送り出す企業があるということです。

経験はないがIT業界で仕事がしたいという人にはおすすめの働き方です。

また、大手企業ほど客先常駐を必要とし、取り入れている傾向にあります。そのため経験が浅くても大手企業の中で仕事をする可能性もゼロではありません。

大手企業で常駐の仕事をする機会があれば、大手企業のネットワークを学ぶことができ、それは自分の経験と知識につながることが期待できます。

残業が発生しにくい

一概にはいえませんが客先常駐は残業が発生すると、客先と所属企業の間で追加料金が発生するため、残業が少ない・発生しにくい環境です。

ただし残業が少ない傾向にあるということで、残業が多い職場もあります。また、反対に業務が残っている場合でも客先常駐のエンジニアは通常通りに退勤し、残りは客先の正社員が何とかするという企業もあります。

このように企業によって残業の仕方はそれぞれですが、客先常駐のエンジニアは残業が少ない傾向にあることが特徴です。

客先常駐のメリットに魅力を感じ、客先常駐という働き方が視野に入ったら、エンジニアスキルアップのランキングが参考になります。GeeklyReviewではそのようなランキングを見ることが可能です。

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客先常駐のデメリット


ここまで客先常駐のメリットについて紹介しましたが、メリットばかりではありません。デメリットもあるため、そこも知っておくことをおすすめします。

提案力・設計力が身につかない

客先常駐の場合、身に付きにくいスキルがあることもご存知でしょうか。大抵の場合、コーディング・運用・保守が業務になります。

顧客の要望をヒアリングし、コンセプトを決め、ゼロからシステムを作っていくといった上流の工程に携わる機会が滅多にありません。そのため、企画力・提案力・設計力が身に付きにくくなります。

また長く同じ客先にいる場合、信頼関係は得られやすくなりますが、技術面では必要なものだけ知っていれば業務ができるため、スキルアップの機会がありません。

そのため他のIT業界で必要とされる技術面が疎くなり、おざなりになってしまうこともあります。

自社への帰属意識が薄くなりやすい

客先常駐は毎日常駐先に出社し、クライアントや他の企業からの常駐の人と毎日顔を合わせ、一緒に仕事をする勤務体制です。

そのため、そのような日々が続くと自社の人より常駐先の人たちの業務や人柄までわかり、親近感も湧いてきます。一緒にいることで困り事や課題を共有することも増え、客先との信頼関係や仲間意識もできやすくなる環境です。

それと同時に、自社への帰属意識が薄くなることは容易に想像できるのではないでしょうか。

またエンジニアの中には自社への帰属意識は薄く、さらに常駐先でも「自分は外部の人間」という意識が強く、誰にも何も質問・相談ができないと孤独を感じる人もいます。

これらはデメリットでもありますが、自社の人に対しても常駐先に対してもコミュニケーションを取っていくことで解消されるデメリットです。

給料が上がりにくい

常駐先で仕事をしていても、給料の支払いや昇給は所属企業により行われます。そのため、所属企業としてもどれだけ客先で実績を出しているのか・どれだけ頑張っているのか、評価が難しいというのが実情です。

また、客先の評価があっても自社の評価基準に満たないと評価されないこともあります。

そのような理由から、客先常駐は評価がされにくく給料が上がりにくいともいわれています。しかし企業の中には客先の評価を自社の評価の参考にしたり、反映させたりしている企業もあるのです。

企業を選ぶときには評価の仕方についても確認することが重要です。

客先常駐の働き方をより知るなら現場の声を見よう


客先常駐のメリット・デメリットを理解し興味を持ったら、現場の声をみてみましょう。客先との付き合い方・休暇の仕組み・責任範囲などリアルな経験をみることで、よりイメージがしやすくなります。

客先常駐に向いてる人は?


客先常駐という特殊な働き方はメリットもある分、デメリットもあります。またその特徴に向いている人、向いていない人もいます。

例えば半年〜数年で職場が変わることが想定されるため、新しい環境・業務内容に慣れることがつらいと感じる人にとっては客先常駐は難しいかもしれません。反対に新しいこと・変化を好み、環境やルールの変化が苦にならない人は向いているといえます。

また1つのことを最後まで突き詰めたいという人より、視野を広げたい人の方が客先常駐には向いているといえます。

客先常駐という働き方が気になった方は、自分自身がその働き方に向いているかどうか客観的にみることがおすすめです。

未経験から現場経験を積みたい人

「未経験可」「未経験歓迎」から始められる客先常駐は、将来エンジニアとして活躍していくことや独立を目指したい人にとっては、とても魅力的な働き方です。

企業によっては客先に出向く前に研修や教育の機会が設けられていたり、常駐先で仕事をすることで実務を行いながら経験を積んでいくことができます。また、1つの現場に限らず複数の現場を経験することも可能です。

このようにいくつかの職場を経験しながら、さまざま業界を知ることができるのは、知識と共に人脈も広がります。これは将来的にキャリアアップするのに必要な要素です。

また、他社の人と関わることでコミュニケーション力もつき、人としても成長することが期待できます。

自分に合った仕事内容や環境を探したい人

客先といってもさまざまな客先があります。そして、客先の業種や規模によっても習得できる技術は変わってきます。

まず自分に合った仕事内容、どんなスキルを付けたいか、自分と向き合ってみることがポイントです。そして、それに合った会社に常駐できるような企業を探すことが重要です。

企業は様々な業種・規模の顧客をもっており、またさまざまな経験・スキル・希望を持ったエンジニアを抱えているため、顧客の中から自分に合った仕事内容や環境を探すこともできます。

具体的なスキルのイメージが湧かないときにはランキングが参考になります。GeeklyReviewではそのようなランキングを見ることが可能です。

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客先常駐企業を選ぶ際の3つのポイント


客先常駐に興味を持ち、「自分に合っていそう」「試してみたい」とやる気になったとき、冷静に客先常駐企業を選ぶことが大切です。

せっかくやる気になっているのに、「想像と違った」「こんなはずではなかった」とストレスや後悔がないように、自分に合った企業を探すことが重要です。

どのように選んだらよいのか分からない・何を基準に選ぶのかわからない、そんなときのために客先常駐企業を選ぶポイントを3つ紹介します。

スキルアップが可能か

他社で仕事をすること・他社のエンジニアと仕事をすること・学びに制限がないことである程度のスキルアップは期待できます。

しかし、システムの設計・開発など上流工程に携われる機会が少ないことから、企画力・設計力・提案力といったスキルのアップは難しいかもしれません。

しかし、上流工程に携わる機会が少ないだけでそのような機会に恵まれることもあります。そのような機会があれば十分スキルアップが期待できます。

客先常駐企業を選ぶときには、どんな現場・業界・業務があるのか事前の確認が大切です。

評価制度が明確か

毎日常駐先で仕事をする中で、わざわざ自分で自社に報告しないまでも客先から評価されたり、反対に理不尽な対応やストレスの中で仕事をすることもあります。

そのような頑張りを自社の人はなかなか知ることができません。客先からいくら評価されていても、自社の評価基準に照らし合わせて客観的に判断される傾向にあります。

それではいくら真面目に、身を粉にして仕事をしても残念ながら昇給や給与に反映されません。

客先常駐企業を選ぶときには、評価基準がどのようになっているのか確認する必要があります。

残業代・交通費が支給されるか


通常は常駐先に出社し、客先の仕事を行いますが、時間外で勤務表の作成や打ち合わせなど自社の業務を行うことがあります。その分の残業代はきちんと支給されるのでしょうか。

また、打ち合わせ等で自社のオフィスに行くときには交通費がかかります。その交通費も支給されるのでしょうか。

「少しの時間」「少しのお金」と思って確認しにくいかもしれませんが、これを積み重ねていくと時間もお金も大きくなります。

そのような残業代・交通費が支給されるのかどうか、また支給されない場合はその理由が納得できるものなのか事前確認が必要です。

客先常駐で多くの経験を積んでレベルアップしよう


客先常駐の魅力の1つに半年~数年で職場が変わるというものがあります。職場が変わることで新しく人間関係が構築でき、新しい知識を得ることができ、視野が広がります。

またエンジニアとしての技術面においても、経験を積みながらレベルアップすることが可能です。

将来的に独立を目指す人・キャリアアップを目指す人には、客先常駐で多くの経験を積んでおくことはレベルアップのまたとないチャンスです。

スキルアップできる企業ランキング

日々ストレスを抱えながらやる仕事と、スキルアップを目標に前向きに取り組む仕事では、同じ時間を仕事に費やすにも後者の方が理想的な仕事になります。

ここでは、スキルアップを目指せる企業を紹介します。