データサイエンティストは魅力的な職業といわれ、需要が急増中です。多くのデータが世界中を飛び交うなか、大量データを取り扱い、課題解決策を導く、データサイエンティストの求人が増えています。

そこで今回は、データサイエンティストの概要・仕事の内容・平均年収・現場の声・必要なスキル・向いている人など詳しく解説します。

データサイエンティストを目指す方は参考にしてください。

需要急増中のデータサイエンティスト


データサイエンティストの需要が急増し、2021年の採用テスト件数が295%に増加したという報告があります。ビッグデータやAIの普及により、データサイエンティストは、2010年頃から注目されるようになりました。

大量のデータを分析して、企業が抱える課題解決の答えを導き出すのが、データサイエンティストの仕事です。

インターネットやスマホの発展により、大量のデータを抱える企業は増え、扱いに苦労しています。大量データを放置すれば、企業は迷走しかねません。

データサイエンティストは、大量のデータを収集・分析し、経営課題の解決策を見出します。今後さらにデータサイエンティストの需要が増えると予想されます。

データサイエンティストの仕事内容


データサイエンティストの仕事は、データに基づき経営課題を抽出し、解決策を立案、仮説検証後に提言することです。

大量データの収集・加工・分析・レポート作成を行います。膨大なデータ解析を行ったり、整理されていないデータを整えたりすることもあります。

統計解析の研究をすることが仕事と思われがちですが、経営という現場に直接貢献することが、データサイエンティストの主な業務です。

仕事の工程別に詳しく解説します。

分析企画・業務設計

データ分析の企画・立案を、プロジェクトスタート時点で行います。やみくもに調査・分析しても、有益なデータが集まらず、正しい分析ができません。

仮説を立て、できる限りの原因と結果を想定し、全体の方向性を見失わないように計画します。企画・立案後は、プロジェクトを立ち上げ、組み込み後の業務設計です。

企業の業務プロセスを細分化・手順を最適化し、パフォーマンスが最大になるように設計します。エラーやイレギュラーも想定し、影響が最小限になるようにします。

アプローチ設計とデータ分析

集めたデータへのアプローチ設計を行います。どのような角度からデータを見て、どのような軸でデータを整理するかなど、答えにたどり着くためのアプローチ方法の検討です。

アプローチ設計に基づき、データ分析を行います。統計ソフトやデータマイニングなどを用いることも可能です。収集した構造化データや非構造化データの、形式の整理・統合などの処理を行います。

次の処理は、目的とする事柄の内容や性質などを明確化するため、より細かな要素への分類です。データが整理され、価値のある意味を見いだす形になります。

データ解析・可視化


データ解析は課題解決の答えを見出す作業です。細分化されたデータから、論理的な答えを導き出します。

さまざまな解析手法があり、決定木分析は、分類木と回帰木でツリー図を使って解析する手法です。何がどのように影響しているか、分かりやすく視覚的にあらわします。

アソシエーション分析は、無数のデータから関連性を見つけ出す手法です。思いもよらない関連性が発見されることがあります。

解析結果が数値情報だけでは分かりにくいことがあるため、グラフ・チャートなど見た目で分かる形に可視化可能です。見る人の理解を高める効果があります。

レポート作成

課題解決策のレポート作成や、プレゼンテーション資料の作成を行います。最初に結論を提示することが大切です。企業が抱えるさまざまな課題を示し、解決する重要性を報告します。

データに基づき、論理的に説明すると、理解が得られやすくなります。経営者へのレポートが前提です。数値の羅列にせず、視覚的にとらえられるようにします。

データサイエンティストの力が示せる絶好の機会であり、経営者に対するアピールになります。

データサイエンティストの平均年収は?


日本のデータサイエンティストの平均年収は、約650万円といわれています。日本人の平均年収は約420万円ですから、データサイエンティストの年収が非常に高いことが分かります。

高収入の理由は、データサイエンティストがビッグデータを扱う専門家ということです。さらに、プログラミングやマーケティングの知識が必要なため、人材は多くありません。

企業が保有するデータは年々増加し、データ分析の需要がどんどん高くなっています。データサイエンティストの求人が多いことも、年収を押し上げる要因です。

データサイエンティストの年収と口コミを、企業一覧で確認してみましょう。現場の生の声は貴重な情報です。

口コミから年収や実情を調べる

データサイエンティストの実情は現場の声をチェック


データサイエンティスト協会の調査によると、データサイエンティストの仕事に「将来性を感じている」と答えた割合は81%と非常に高い水準です。

一方、「現在の業務に満足している」と答えた割合は42%と低い結果になっています。満足度が低い原因は以下の3つです。

  • 手本になる人材がいない
  • 上司の理解が得られない
  • スキルアップの時間がない

いずれも、社内にデータサイエンティストを理解する人がいないことに起因しています。データサイエンティストは、データ解析という手法で経営課題を解決することを、同僚・上司・経営者に伝え理解してもらうことが大切です。

データサイエンティストに必要な知識やスキル


データサイエンティストには、IT全般の知識、統計学に関する知識、ビジネススキルが必要です。膨大なデータを収集・分析するために、ビッグデータ・データベース・ネットワーク・プログラミングなど、ITの幅広い知識が求められます。

データ解析を行うために数学や統計学の知識、経営課題解決を提案するためにビジネスに関する知識と経験が必要です。

これらの知識とスキルは、学習するだけでなく、実戦の積み重ねで身につけられます。必要な知識とスキルについて詳しく解説します。

プログラミングスキル

PythonあるいはR言語のプログラミングスキルが必要です。データの収集・データ形式の変更・BIツールなどに、これらの言語が使われます。

Pythonは、さまざまな分野で活用されていますが、近年特にAI分野で使われるようになりました。

R言語は、OSSで統計解析向けの言語です。統計開発言語として開発されたため、データ分析・統計解析に関しては、他言語に比べ圧倒的に優れています。

多くの企業で使われている、Pythonから始めることをおすすめします。Pythonを身につければ、R言語にスムーズに移行可能です。

分析や統計の知識


データ分析や統計の知識が必要なため、数学が前提です。高校や大学で学んだ確率・統計、微分積分、行列などは必須条件となります。

データ分析を行うためには、統計処理やデータマイニング手法の理解が求められます。データマイニングは、大量データに解析技法を適用し答えを得る技術です。

データ分析にツールを用いることがあり、代表的なツールとして、IBM社のSPSSがあります。OSSのR言語を用いた分析ツールもあります。

ビッグデータの活用スキル

データサイエンティストは、ビッグデータを扱うケースが多くなります。ビッグデータは大量であるため、収集・蓄積・操作に適した技術が必要です。

Hadoop、HBase、HiveなどのOSSの知識が求められます。Hadoopは、データを多数のサーバに分散して並列処理を行うミドルウェアです。

ビッグデータ分析の需要は飛躍的に伸びると予想され、技術はますます発展して行くと推測されます。常に最新技術を追いかけ、キャッチアップしていくことが求められます。

ビジネススキル

データから導き出された答えから、経営課題の解決策として具現化するため、ビジネスの仕組みを知る必要があります。

ビジネスのターゲット層、販売経路、購入者の年齢・男女比、購入タイミングなど、どのような仕組みか理解することが求められます。

課題をもれなく抽出・整理し、結論を出すため、論理的な思考が必要です。フレームワークを用いれば、容易に課題を洗い出すことができます。

データサイエンティストは、成果物として、レポートの提出あるいはプレゼンテーションを行います。誰が読んでも分かるレポート、見て聞いて納得できるプレゼンテーションが大切です。

データサイエンティストに向いているのはどんな人?


データサイエンティストには、経営課題の解決策を提案するという、大変重要な役割がありますが、解決策にたどり着くには大変な時間を要します。

最終報告のプレゼンテーション前の作業は、データと毎日向き合い、地道な作業の繰り返しです。時には答えに行きづまり、再度やり直しを迫られることがあります。

苦労のすえ答えにたどり着けば、大変な満足感です。データサイエンティストは、どのような人に向いている職業か詳しく解説します。

仮説を立てて課題解決ができる人


地道にデータを集め、仮説を立て課題解決できる人に、データサイエンティストは向いています。

データサイエンティストの仕事は、仮説を立て事実を追求することの繰り返しです。仮説が正しくなければ、次の仮説を立て検証していきます。

データサイエンティストの役割は、目標達成や課題解決がどうすればできるか検証することです。

目的に合わせデータを集め、さまざまな方向から分析し、仮説を立てて検証します。検証された結果は、経営の意思決定手段として用いられます。

好奇心旺盛な人

データサイエンティストは、何か実現したい、何か深く研究したいなど、好奇心旺盛な人に向いています。

データサイエンティストは、企業で課題解決というミッションで働いてはいるものの、科学者的な側面もあります。

日々の仕事はデータと向き合い、試行錯誤を繰り返し、ひたすら課題解決の答えを探求することです。時には迷走し悩むかもしれませんが、好奇心や探求心が強い人は、やりがいを感じるでしょう。

事実を深く追い求められる、好奇心旺盛な人に向いています。

データサイエンティストについてもっと知りたいなら


データサイエンティストは、常に正直でなければいけません。データを偽って違う答えを引き出すこともできます。しかし、たとえば医療の世界でそのようなことをしたら、人命の危機につながる可能性があります。

データサイエンティストは、常にデータと正直に向き合わなくてはなりません。

データサイエンティストを採用する企業は増えていますが、データサイエンティストの定義はいまだ不明確です。2013年にデータサイエンティスト協会が設立され、70以上の企業が参加し、育成に力を入れています。

データサイエンティストになる方法は、専門の理系大学卒業後に就職、データベース・データマイニング・Web系エンジニアから転職、マーケッター・アナリストから転職などです。

データサイエンティストは、多くの人材が育成され、今後企業にとってさらに必要な人材になるでしょう。

データサイエンティストを採用する企業一覧と口コミをチェックしてみましょう。貴重な情報が入手できます。

口コミから採用企業を探す

データサイエンティストは社会に貢献できる魅力的な職業


データサイエンティストは、企業に必要不可欠で魅力的な職業です。

インターネット・スマホ・SNSなどにより、国境を飛び越え大量のデータが飛び回り、世界は大きく変化しました。今後さらに大量のデータが行き来します。

企業が課題にぶつかったとき、データサイエンティストなしに解決することは、極めて困難です。データサイエンティストは、大量のデータを扱い、課題解決の答えを引き出します。

データサイエンティストは、企業の中核となり、社会に貢献できる職業として重要視されていくでしょう。

データサイエンティストが活躍している企業一覧

GeeklyReviewでは以下のような企業で、データサイエンティストが活躍している生の声を見ることができます。