エンジニアとして経験を積んだ人は、いずれ部下ができたら人材育成やチームの取りまとめを求められます。
そうした時にマネジメントできる能力がなければ、十分なパフォーマンスを発揮することができません。
また、エンジニアとして転職を考えた場合でも年齢的にマネジメント経験の有無を採用の条件とする企業も当然出てきます。
管理能力の高いマネジメント経験がある人を採用したいと考える企業が多いということです。
今回はエンジニアがマネジメントスキルを身に付けるメリット・役立つ能力について解説していきます。
そもそもマネジメントとは?
マネジメントとはプロジェクトやメンバーの管理など、人・物・金を管理・運用する能力をいいます。
マネジメントをする人は自分のプロジェクトやメンバーだけでなく他の部署との調整役としての能力も必要です。
さまざまな課題に直面しながら、いかにメンバーのモチベーションを上げつつ、目標を達成できるかが問われるのです。
「リーダーシップ」と「マネジメント」とは同じような捉え方をされることもありますが、「リーダーシップ」とは具体的な方向性を示すことを目的にします。
一方、「マネジメント」は設定された目標に沿って具体的なサービス内容を考え、実施へとチームを導くことをいいます。
マネジメントする人は組織を効率よく運営するためには、どのような人材を配置すればプロジェクトが達成できるのか考えなければなりません。
エンジニアにマネジメントスキルは必要なのか?
エンジニアがマネジメントを行う場合、テクニカルスキルだけが求められるわけではありません。
チームをまとめるためのスキルが欠かせないのです。特にエンジニアの仕事は品質・コスト・納期を管理しなければなりません。
そして組織としての成果を上げることが最終目標です。そのためにはエンジニアの育成・それぞれのメンバーの役割と配置・コストの削減が重要になります。
マネジメントでは、部下の育成をしながらプロジェクトに最適な人員の配置が必要です。メンバーの仕事の進捗状況を把握し、問題点や改善点を考えることも重要になります。
マネジメントする人はチームだけでなく、顧客をはじめ他の部署との連携も欠かせません。そのためにはコミュニケーションスキルが重要です。
円滑に業務を進めるためには、意思疎通を図り信頼関係を構築していかなければなりません。
また、マネジメントする上で大切なことは最小の人員で業務に取り組み、いかにコストを抑えながら円滑に業務を遂行し、優れた製品を納期内に納められるかです。
エンジニアがマネジメントスキルを身に付けるメリット
エンジニア職がキャリアの大部分を占めてくるとマネジメント能力が必要になります。
ここではエンジニアがマネジメントスキルを身に付けるメリットについてみていきます。
キャリアアップが目指せる
いかに優れたエンジニアでも自分ひとりでこなせる仕事は限りがあります。
特に大規模なプロジェクトになれば組織力が大切であり、そのためにはマネジメントスキルが欠かせません。
技術や経験がいくらあってもマネジメントができなければキャリアアップはできないかもしれません。
エンジニアとしてマネジメントスキルを身に付ければ大規模なプロジェクトの責任者に抜擢されることもあります。
マネジメントスキルさえあればチャンスが広がり、将来的にキャリアアップが目指せるメリットがあります。
自己成長につながる
プロジェクトでは、数十人から数百人のエンジニアが関わるプロジェクトも珍しくありません。
こうしたプロジェクトをまとめられるマネージャーがIT業界では求められているのです。
マネジメントスキルを磨くことは自己成長につながり、自分が取りまとめたプロジェクトがクライアントに認められ評価されれば大きな喜び・やりがいになるでしょう。
また、マネジメントの仕事はチーム内の人材をどう活用するかであり、そのためには一人ひとりが問題意識を持ち、生産性を高めることで組織として成長していくように導くことです。
頑張っているメンバーの評価を正しく行えばそれぞれの成長にもつながり、結果としてチーム全体の成長・意欲向上になります。
メンバーが主体的に動けるということは、マネジメントをする自分の成長の証にもなるのです。
開発パフォーマンスが上がる
エンジニアがマネジメントスキルを身に付ければ、開発パフォーマンスが向上します。優れた技術を持つエンジニアがマネジメントすれば、現場をよく理解できるのです。
また、そうしたエンジニアがマネジメントするとこれまでの経験やスキルから状況を判断し的確な采配ができるだけでなく意思決定も早くなるでしょう。
その結果、開発工程の管理から納期までスムーズに進み、クライアントやメンバーとの信頼関係も良好なら次につながる仕事になるのです。
スキルアップできる企業で働いている人の声を聞いてみよう
スキルアップできる企業で働いている人の声はエンジニアを目指す人には刺激になるでしょう。
GeeklyReviewではエンジニアがスキルアップできる企業をカテゴリー別で見ることができます。現場で働いているエンジニアの口コミはきっと参考になるでしょう。
マネジメントに必要な能力
エンジニアがマネジメントする際に求められる必要な能力について解説します。ここでは4つにフォーカスしてご紹介しましょう。
課題解決力
マネジメントする立場になると、プロジェクトが立ち上がるとさまざまな課題に取り組み解決しなければなりません。
まず、クライアントの抱えている課題に真摯に向き合いヒアリングを重ね、要件定義を作成しチームのメンバーや関連部署とその要望にマッチする改善方法を考えます。
次にその改善案に沿ったシステムを考案するために、最適なプログラミング言語・ソフトウェア・ハードウェアなどを選定しなければなりません。
システム開発を進めて行くといくつもの課題に直面しますが、その度に原因の究明・対策を講じる必要があります。
また、組織が危機的な状況に陥った時は、被害を最小限に食い止めるリスクマネジメントも求められるのです。
リーダーシップ
プロジェクトを担う責任者であるマネージャーは、現場のチームの総括としてプロジェクトを遂行・完成させる強いリーダーシップが必要です。
クライアントの要求を理解して、納品期日までチームをまとめ進捗状況を把握し課題を解決していかなければなりません。
メンバーのモチベーションをいかに持続させ、一致団結して取り組む雰囲気作りもリーダーシップといえるでしょう。
また、現場のプロジェクトの進捗状況はクライアントにも説明し、常に意思疎通を図ることも重要です。
コミュニケーション能力
マネジメントに欠かせないものにコミュニケーション能力があります。メンバーが同じ方向を向いて業務を遂行できるような環境づくりが大切です。
また、メンバーの声を吸い上げる環境づくりと人材育成も重要な使命といえます。
単に会話にとどまらず、多角的な視点でコミュニケーションをとることはプロジェクトを無事に完成させるために重要なのです。
洞察力・判断力
プロジェクトを遂行していく上で大切なことは洞察力・判断力です。
どのようなプロジェクトでもさまざまな課題に直面し、その一つひとつを冷静に分析・解決していく能力が必要です。
トラブルの対応策として人員や予算の調整が必要なこともあるでしょう。場合によってはスケジュールの見直しが出てくることもあります。
場当たり的な対応ではなく、根本的な解決策を短時間に見つけ出さなければなりません。
課題によっては納期に響くような場合もあるかもしれません。そうした場合はクライアントにもきちんと理解できるように説明しなければならないのです。
このような課題はプロジェクトが進行している間は発生する可能性があることは頭に置いておきましょう。
マネジメントが難しい人の特徴は?
ここまではマネジメントに必要な能力をみてきました。ここでは反対にマネジメントが難しい人の特徴についてみていきましょう。
ずっと開発に携わっていたい
エンジニアの中には開発の方が楽しいという人がいます。プログラマーを経験してエンジニアになった人ほどその傾向が強いといえます。
開発にずっと携わっていたい、その方が楽しいと考えるエンジニアは生涯エンジニアでいたいという気持ちが強くマネジメントには興味を持っていません。
こうした手を動かしていたいと第一線で活躍している40〜50代のエンジニアもいますが、どうしても若い人の方が新しい技術の習得には長けています。
市場価値を下げないで第一線で活躍したいのならフリーランスのエンジニアとしてやっていく選択肢もあるでしょう。
しかし、企業で働きたいのなら常に最新の技術を身に付け、どのようなニーズにも対応できるよう自分を磨くことを忘れないでください。
在宅で働きたい
ワークライフバランスという言葉は社会にずいぶん浸透してきました。
個人のライフスタイルに合わせた仕事選びが、幸せな生き方につながるという認識が広がりエンジニアの仕事でも自宅を希望する人が増えています。
子育てや介護など家庭の事情はさまざまです。マネジメントの仕事でなければエンジニアは出社の必要性が他の職種に比べて低いのが特徴です。
エンジニアとして経験やスキルがある程度あればフリーランスとして自宅で働くことは可能です。
ただし、フリーランスは成果物のみで評価されるうえ、仕事が途切れないための努力が必要なことは覚えておきましょう。
1人で黙々と仕事をするのが好き
コミュニケーションをとるのが苦手なエンジニアもいます。1人でデスクに向かって仕事をするのが好きな人にはマネジメントの仕事は厳しいといえるでしょう。
エンジニアはチームやクライアントとのある程度の打ち合わせが必要です。
1人で黙々と仕事をするのが好きなエンジニアはフリーランスとして働く人が必然的に多くなりますが、仕事上でのミスは自己責任になります。
また、仕事を自分で見つけなければならないというデメリットもあり、自己管理能力が必要です。
マネジメントスキルを磨きたいなら職場の成長環境も大切
マネジメントスキルを磨きたいなら、その会社があなたのキャリアパスに合うかどうか見極める必要があります。
環境の変化が多様化し、状況に応じたマネジメントをする必要性が高まっています。そのためエンジニア自ら成長できる環境を求めて転職する人も少なくありません。
エンジニアの仕事は何をやらせてもらえるかで自分の市場価値が大きく変わるものです。
また、今まで何をやってきたかが重要であり、自分で勉強していることはあまり評価されないケースもあるのです。
どのような職場なら自分の成長が確かなものになるのか考えておくことは重要といえるでしょう。
GeeklyReviewではマネジメントスキルが磨ける企業別成長環境ランキングを見ることができます。エンジニアの口コミをぜひ参考にしてください。
マネジメントスキルをもったエンジニアは需要が高い
高い技術と知識があるエンジニアはIT業界には多くいますが、マネジメント能力を兼ね備えたエンジニアになると少ないのが現状です。
技術力・経験・マネジメント能力を持ったエンジニアは、市場価値が高く、経営資源を管理・人材育成・高い業務遂行できる能力は今後も需要が見込まれる職種といえます。
成長環境が整っているIT企業一覧
GeeklyReviewでは下記のような成長環境が整っているIT企業で活躍しているエンジニアの生の声を見ることができます。
この記事の監修者

ギークリーメディア編集部
主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。