ITコンサルタントという職業があります。IT技術を利用してクライアント企業の問題の解決を助けるコンサルタントです。

この職業に憧れを持っている方も多いです。しかしその割に、業務の実態はよく知られていません。

ITコンサルタントという職業は一般に高収入と思われています。

しかしその割には具体的にどれだけの年収が期待できるか、などの情報も知られていません。

ここでは一見華やかに見えるITコンサルタントの実情を、その収入事情とともに解説します。

ITコンサルタントとして年収をアップさせる方法や、取得しておくと役に立つ資格も併せて紹介します。

エンジニアが憧れるITコンサルタント


SEなどのITエンジニアが次のキャリアとして目指すもののひとつに、ITコンサルタントがあります。

ITコンサルタントはシステム開発の最上流の工程を担当し、クライアント企業の経営課題にIT技術を使った解決方法を提案する職種です。

ここでは収入という側面に特に焦点を当てて、ITコンサルタントという職種の紹介をすることにします。

ITコンサルタントになるメリット


ITエンジニア同士が協力しながらシステムを構築して、それが無事稼働したときの喜びは何物にも変えることができません。

しかしシステム構築の目的と経営課題とのあいだにずれがあって、完成したシステムが思ったように使われないときは、とても悲しい思いになります。

このような悲しい思いをしないために必要なのは、企業経営とそれを解決するIT技術の橋渡しです。

これがITコンサルタントの仕事であり、ITコンサルタントの喜びです。

ITコンサルタントの仕事はシステム開発の最上流の工程に属しています。そのため年収の面でも有利なことも、大きなメリットのひとつです。

スキル次第では年収アップできる


コンサルティングファームは実力主義の世界です。外資系のコンサルティングファームは特にそうです。

そのため、入社後のがんばり次第で大幅な年収の伸びが期待できます。

厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、コンサルティングファームの社員の場合、20代から30代の収入の伸びが著しいです。

しかし40代になっても収入が伸びなくなるわけではありません。収入のピークは50代の前半に訪れます。

コンサルティングファームの社員が仕事に一生懸命であることと、コンサルティングファームの側もそれに応えていることが、この結果でわかります。

課題解決の達成感


ITコンサルタントは高額な年収のためだけに、ハードな業務をこなしているのではありません。

何らかの経営課題を抱えて困っているクライアント企業を、IT技術を利用して解決のお手伝いができるのが嬉しいのです。

ひとつのプロジェクトが完了し、クライアント企業から感謝されると、プロジェクトメンバー全体が大きな達成感に包まれます。

ITコンサルタントの役職


コンサルティングファームにおけるITコンサルタントの役職は、大きく3つに分かれています。マネージャー・コンサルタント・アナリストの3種類です。

新人コンサルタントの多くはアナリストの段階からスタートし、実力がつくに従ってコンサルタント、さらにマネージャーへと昇進していきます。

マネージャー


プロジェクト全体を統括するのが、マネージャーの役目です。

プロジェクトが始まると、マネージャーはその大まかな方針を定めると共に、各メンバーのスキルなどに応じて、担当範囲の割り振りをします。

その後もメンバーとのディスカッションを通じてプロジェクトの方向を修正したり、進捗や予算の管理も担当します。

クライアントとのやり取りも、マネージャーが中心です。

プロジェクトのメンバーの入れ替えを行う権限も持っています。必要であれば自分自身もひとりのコンサルタントとして作業に参加します。

マネージャーはプロジェクトを取りまとめる立場なので、一般のコンサルタントより責任が重く、仕事はハードです。

コンサルタント


コンサルタントは、クライアントの話を聞いて、経営的な視点からシステムの要件をまとめたり改善提案を行ったりする役職です。

一般の人のコンサルタントのイメージに近い活動を行うのが、このコンサルタントの役職にある人々です。

ITコンサルタントの場合、改善提案はITシステムを使ったものになります。ただしコンサルタントの場合、自分でプログラムを作成することは滅多にありません。

コンサルタントは担当範囲の調査計画と解決案を、自分の裁量で策定することができます。

そして定期的にマネージャーとディスカッションしたり、チームミーティングに参加するなどして、自分自身が作った計画の軌道修正を行います。

アナリスト


アナリストはコンサルタントの指示のもとで、情報収集・情報分析・資料作成などの仕事を担当します。

コンサルタントのアシスタントとしての役割を担っているのです。

ITコンサルタント入門の意味を持つ役職です。新卒で入社したコンサルタントの場合、まずこのアナリストから始めます。

そしてアナリストを2年から4年勤めた後で多くの場合、コンサルタントに昇進します。

ITコンサルタントの平均年収


ITコンサルタントの平均年収は約500万円です。20代で約400万円・30代で500万円後半と、同世代の会社員の中では比較的高いです。

ただし、コンサルタントとしての経験やコンサルタントファームの給与体系によって、収入は大きく変わります。

アナリストの場合平均で500万円から700万円・コンサルタントの場合700万円から900万円・マネージャーの場合900万円から1,800万円です。

ただしこれは国内のITファームの場合の水準です。外資系のコンサルティングファームに勤める場合、年収の水準はもう少し高くなります。

GeeklyReviewを見ると、ITコンサルタントが活躍するコンサルティングファームの年収・給与ランキングの口コミを確認することができます。

ITコンサルタントの年収を見る

ITコンサルタントの年収をアップする方法

ITコンサルタントの年収は、同世代の会社員の中では高い方です。

しかしそれは、コンサルタントとして働いている本人が、たゆまぬ努力によって仕事のチャンスを広げ、結果として高収入を得ているにすぎません。

ここではITコンサルタントがよりスケールの大きな立場で働き、その結果として年収がアップする方法を紹介します。

最先端の分野のITコンサルタントとして働く


ITコンサルタントといっても、AIやロボティクスといった最先端テクノロジーに詳しい人材はそれほど多くありません

多くの会社が最先端のテクノロジーを自社のビジネスに取り入れたいと考えても、それをサポートできる人間は滅多に見つからないのです。

したがって、最先端のテクノロジーに詳しい大学の研究者などがITコンサルタントに転職した場合、大幅な年収アップが見込まれます。

これは逆に、現役のITコンサルタントが大学の研究室にしばらく戻って最先端技術の知見を身につけると、やはり年収アップが可能なことも意味します。

資格を取得してスキルアップを目指す


コンサルタントは基本的に実力主義の世界です。

しかしアナリストの場合は仕事に必要な資格を取得しておくと、コンサルタントへの昇進をアピールする際、役に立ちます。

コンサルタントやマネージャーの場合でも、資格によってはその資格の取得者の集まりがあるなど、人脈を広げ業務に生かすきっかけにできます。

資格を取得することはスキルアップにつながり、さらには年収アップに役立つのです。

マネージャー以上の役職へのキャリアアップを目指す


コンサルティングファームの役職は、アナリスト・コンサルタント・マネージャーの3段階と述べました。

実はその上に パートナーという役職もあります。コンサルティングファームの共同経営者という立場なので、仕事の内容も大きく変わります。

コンサルティングファームの中でパートナーにまで上り詰めることができるメンバーは、ほんのひと握りです。

マネージャーを卒業してパートナーになると、年収はときとして数千万円台にまで到達します。それ以上の場合もあるかもしれません。

パートナーは「経営者」の立場なので、年収はコンサルティングファームの業績次第です。「いくら」と決めることはできません。

フリーのコンサルタントとして独立した場合も同じです。自分自身の実力次第です。優秀な場合は年収1,000万円を上回ることも少なくありません。

ITコンサルタントの年収アップにおすすめな資格


ITコンサルタントとしての実力を証明するのにおすすめの資格をいくつか紹介します。

取得しておくと、コンサルティングファームへの転職や、コンサルティングファームの中で実力をアピールするのに役立ちます。

プロジェクトマネージャー試験


プロジェクトマネージャー(PM)試験は経済産業省所管の独立行政法人情報処理機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の一区分です。

ITプロジェクトを円滑に実行するための指揮・監督を行う能力があることが認定されます。

情報処理技術者の中でも高度な区分に属し、合格率が1割程度しかない難関の資格試験です。

ITコーディネータ


ITコーディネータは、NPO法人ITコーディネータ協会が認定する民間資格です。

2001年に当時の通商産業省(現在の経済産業省)の肝入りで作られました。

IT技術と企業経営の両方の知識を持っていて、両者の橋渡しをすることができる人材であることを認定するのが目的です。

ITコンサルタントに向いた資格で、取得も比較的たやすいです。ただし資格の更新を実務経験に基づき毎年行わなければなりません。

中小企業診断士


中小企業診断士は、中小企業に対するコンサルティングを行う能力があることを認定する国家資格です。

コンサルティング関係の資格のうち唯一の国家資格で、かなりの難関です。自己啓発に熱心なサラリーマンに人気の資格でもあります。

合格にはITの知識を含む、経営に関する幅広い知識が要求されます。

ただしこの資格を取得しなくても、中小企業のコンサルティング業務を行うことは可能です。

しかしSEなどIT関係の業務の経験者がこの資格を取得すると、ITコンサルタントとしての能力の証明になります。

ITコンサルタントの企業ごとの年収は口コミでチェック


ITコンサルタントの年収は、同年代のビジネスパーソンに比べて一般に高額です。

そして外資系のコンサルタントファームの方が国内のコンサルティングファームに比べて給与が高い傾向があります。

ただし同じ外資系コンサルティングファーム・同じ日系コンサルティングファームであっても、会社によって給与体系が異なるのは、ある意味当然です。

GeeklyReviewではそこで働く人々の口コミによって、それぞれのコンサルティングファームの年収や給与を確認することができます。

年収・給与ランキングはこちら

ITコンサルタントの年収は個人のスキルによって変わる


コンサルティングファームの給与水準は、SIerなどのIT企業に比べて高いです。

しかし実力主義の会社が圧倒的に多いため、社員の給料には意外にばらつきがあります。

活躍すればその分昇進スピードは速く、若くても大きな年収を得ることができます。

中途入社の転職組は、前職より給与が下がることもしばしばですが、がんばり次第で回復可能です。

能力さえあれば独立してフリーランスになって、1,000万円以上の年収を手にすることもできます。

ただしコンサル業界には「昇進かそれとも退職か」という言葉が存在します。いつまでも同じ職位にとどまり続けることはできないという意味です。

厳しい世界です。この業界で成果を上げて良い収入を手にするか否かは、すべてご自分のスキルにかかっています。

年収・給与アップが目指せる企業一覧

GeeklyReviewでは、ITコンサルタントとして働くことによって、年収・給与の大幅なアップが可能な企業の一覧を見ることができます。