SEは多くの企業で必要とされています。これは企業が急速なデジタル化の波に襲われているためです。

一般的にSE全体の平均年収は高いものとなっていますが、社内SEの年収は他のSEよりも低いといわれているのはなぜなのでしょうか。

この記事では社内SEの年収が低い理由について解説と、年収をアップするためのコツをご紹介しています。

年収アップに繋げるためにも、SEを目指している方や転職をお考えの方はぜひ参考になさってください。

多くの企業に必要とされる社内SE


社内SEは多くの企業に必要とされている人材です。背景にあるのは社会の急速なIT化とDX化への対応です。

2021年9月に一般社団法人・日本能率協会が公表した、「日本企業の経営課題2021調査結果速報 【第3弾】」という調査があります。

同調査では「DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでいるか」との問いを各企業に投げかけました。

すると「既に取り組みを始めている」と回答した企業の割合が、2020年には28.9%でしたが、2021年には45.3%と大幅に増加していました。

取り組みを始めている企業では、大企業が65.6%と高めになっています。

企業によりマーケティングの向上や、既存のサービスのブラッシュアップなど目的はさまざまです。

しかしリモートワークの導入拡大などに見られるように、多くの企業が強制的にIT化とDX化に対応させられている、というのが現状でしょう。

もちろんIT化とDX化をサポートする企業への発注も増えています。

しかし、それよりも内製化してスピード感を上げたいという欲求が高まっており、その結果社内SEが必要になるという流れになるわけです。

社内SEの業務内容


社内SEの業務内容は企業によりバラツキが見られます。概ね共通しているのは次の3点です。

  • システム開発・保守点検
  • インフラ構築・保守点検
  • 社内の問い合わせ対応

それぞれ解説していきます。

システム開発・保守点検

社内のシステム開発やその保守と点検・管理を行います。システム開発には予算の作成から携わるのが普通です。

一般に社内のシステム開発では、期末毎もしくは年間で予算を立てます。

立てた予算と実際のコストを比較するなど、予算管理を行うことも珍しくありません。予算が決まったら次に企画に取り組みます。

企業により置かれている立場はさまざまです。自社に合わせたシステムの企画が重要となります。

システムの設計・開発・テストという工程が済んだら、実際に運用を開始するわけですが、その保守と点検・管理も社内SEの仕事です。

インフラ構築・保守点検

インフラ構築とは情報システムが正しく動作するように、サーバーやコンピュータ・ネットワーク機器を調達します。

そしてソフトウェアを導入して設定を行い、きちんと稼働するようにインフラを整備することです。

つまり自社で企画・開発をしたシステムを、滞りなく作動するようインフラを構築して、保守点検まで担当することになります。

社内の問い合わせ対応

システムやインフラを定期的に保守点検していても、時には不具合が起きることがあります。

その場合は、社内から問い合わせが入ることになりますが、その対応も社内SEの担当です。

またMicrosoft Officeの使い方のサジェストや、パソコンのセットアップ、OSのインストールやメールの設定など、細々した対応も社内SEの仕事となります。

社内SEの働き方別平均年収


社内SEの平均年収は496万円です。日本の平均年収445万円と比較すると、高いことがわかります。

そこで働き方別の平均年収を見てみましょう。正社員と派遣社員、アルバイトとパートのケースをチェックしていきます。

正社員

正社員の平均年収は約496万円となります。月給換算すると41万円で、初任給は21万円程度が平均的です。

正社員の給与分布を見てみると、割合が最も高いのは488万円から561万円のゾーンで、平均年収496万円もこの中に入ります。

派遣社員

派遣社員の平均時給は1,896円です。1日8時間働くとすると、日給で1万5千円ほどで、月に20日では約30万円となります。

ボーナスを別とすれば年収は360万円ほどというわけです。正社員と比較すると100万円以上安いことになります。

アルバイト・パート

アルバイトやパートの平均時給は1,149円です。1日8時間働くとすると、日給で9千円ほどで、月に20日では約18万円となります。

アルバイトやパートでは、ボーナスは期待できません。ですから年収に換算すると216万円ということになります。正社員と比較すると半分以下ということです。

社内SEの年収は他のSEより低い?


社内SEの年収は他のSEより低いといわれています。日本の平均年収と比較すると高めではあるのですが、ほかのSEとの比較ではずいぶん低いというのが実情です。

ほとんどの社内SEはシステムの維持やパソコン備品の管理、社員のヘルプ対応などの仕事しかしていない、というのが理由になります。

つまり生産性のない仕事とみなされるので、給与もそれなりというということです。

また社内SEの仕事には、高い専門性が求められることはありません。これも給与が抑えられる理由といえます。

さらにほかのSEとは異なり残業がほとんどないことも影響しているかもしれません。

SEは残業の多いきつい仕事といわれますが、その分収入に反映されるものです。残業がなければ残業代は支払われませんから年収も低くなります。

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社内SEの年収を決める要素


社内SEの年収を決める要素は大きく2つあります。1つは大企業なのか中小企業なのかといった企業規模の違いです。

もう1つはSEの持つスキルによります。それぞれ解説していきましょう。

企業規模


大企業であれば、給与水準は大企業の平均年収が適用されることになります。平均年収は500万円から600万円となるでしょう。

しかし中小企業では中小企業の平均年収が適用されます。そうなると平均年収は400万円から500万円と、大企業よりも100万円も年収に差が出るでしょう。

企業規模による年収の差は個人ではいかんともしがたいので、就職や転職をする際にはよく注意する必要があります。

SEのスキル


先に述べたように、社内SEの多くはシステムの維持やパソコン備品の管理・社員のヘルプ対応などの仕事がメインです。

専門性の高いスキルが必要とされないというのが理由ですが、SE以外のスキルを身につけると状況は変わるでしょう。

例えばTOEICで一定以上の点数があれば、給与は25%上昇するというデータもあります。専門以外のスキルに目を向けることも大切です。

社内SEの年収アップのコツ


ここまでは社内SEの年収が低くなる理由について解説してきました。しかしすべての社内SEが低収入というわけではありません。

ここからは社内SEの年収アップのコツについてご紹介しましょう。年収をアップするには次のようなポイントがあります。

  • スキルを磨く
  • 収入が高い部署へ異動する
  • 転職する

それぞれ解説していきましょう。

スキルを磨く

専門外のスキルについては先に述べた通りですが、やはり専門のスキルを高めることから始めましょう。

IT戦略やマーケティングに関するスキルを身につければステップアップすることが可能です。

システムの維持やパソコン備品の管理・社員のヘルプ対応だけしかしない社内SEと、IT戦略やマーケティングから会社の抱える問題を解決していく社内SEでは、待遇面で大きな差が生まれます。

スキルを磨くうえで資格を取得するのもいいでしょう。例えばIT戦略の企画・管理力をアピールしたい場合は、「PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)」がおすすめです。

ベンダーとしての知識を示したいのであれば、「オラクルマスター」や「シスコ技術者認定資格」などがいいでしょう。

いずれも有効な資格として認められるものです。社会に出ても勉強は続きます。

収入が高い部署へ異動する

年収を上げるためには、収入が高い部署へ異動するという選択肢もあります。

社内SEの場合は末端のパソコン備品の管理などから、より川上の工程を目指すことになるでしょう。

具体的にはIT戦略を企画する部門への異動となりますが、これにはやはりスキルを磨いて経験を積む必要があります。

IT戦略企画を担当して会社の最前線に立ち、実際に売上を伸ばせれば高い評価を受けられるでしょう。当然ですが給与にも反映されます。

要するに総務部的な社内SEではなく、営業的な社内SEへの転換です。実際に数字を伸ばせる人を会社は評価します。

転職する

スキルを磨いたり収入の高い部署に異動するというのは社内的な解決手段です。

これらのことを実践しても、希望に満たない給与であれば、転職を検討するのもいいでしょう。

しかし転職する際には、履歴書に記載できるような資格や職務経歴書に記載できるような経験が重要です。

総務部的な社内SEのままで転職をしたとしても、ステップアップには繋がらないでしょう。

ですからまずはスキルを磨き、川上の工程で経験を積むことです。そのうえで自分を売り込むのであれば、転職エージェントを利用するなど、転職活動を工夫してください。

やりかけたプロジェクトなどがあるなら、きちんと引き継ぐか転職先と相談して入社日を遅らせるといった配慮が必要です。

社内SEの年収事情が気になるなら


社内SEの年収事情が気になるのであればネットで検索して情報を集めるのもいいでしょう。

社内SEのニーズは高まっているので、今後は給与がアップされる可能性があります。

なお年収や給与のランキングをチェックする際はGeeklyReviewを利用してみるのもおすすめです。

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社内SEは努力次第で年収アップが期待できる


社内SEの給料はなぜ低いのかの解説と、年収をアップするためのコツについて紹介してきました。社内SEであってもスキルアップや部署の異動で年収を上げることは可能です。

いつまでも総務部的なポジションに甘んじていれば物事は動きません。確かに安定しているかも知れませんが、高みを目指すのであれば努力が必要です。

社内SEは努力次第で年収アップが期待できる職業だといえます。

年収の満足度が高い企業一覧

年収の満足度が高い企業は次の通りです。