近年は、ユニークな福利厚生を設ける企業が増えています。福利厚生の充実度は働きやすさの目安でもあるため、企業選びの参考にしましょう。

特に女性は、ライフイベントによって働き方を左右されやすいため、一生働ける環境が整っているかを重視してください。

本記事では、女性向けの福利厚生が充実している企業ランキングを紹介します。あわせて、女性が企業を選ぶときの注意点にも触れています。

ぜひ最後までご覧ください。

働く女性にとって福利厚生は大切


福利厚生とは企業が従業員に対して支払う給与・賞与以外の報酬です。福利厚生の目的には下記があります。

  • 従業員・その家族の安定した生活を支援する
  • 従業員が安心して働けるような労働環境を整える

福利厚生が充実しているほど働きやすい職場といえます。一方、就職・転職の際にはどうしても給与・賞与に注目しがちです。

給与が高ければ、福利厚生をそこまで気にしないという方も少なくありません。

しかし実は、福利厚生の充実度はこの先働き続けるうえで非常に重要なポイントです。特に女性の企業選びでは、福利厚生をしっかり確認する必要があります。

女性が福利厚生を重要視する理由


なぜ女性が福利厚生を重視すべきかというと、さまざまな事情で働き方を制約されやすいためです。

特に女性の働き方を大きく左右するのが、ライフステージの変化です。

結婚や出産によるライフステージの変化


ライフステージとはそれぞれの年代にあわせた生活段階を指します。ライフステージに変化をもたらすものをライフイベントと呼びます。

ライフイベントは、いわゆる「人生の節目」となるような出来事です。一般的に女性は男性よりもライフイベントの影響を受けやすい立場です。

結果として、退職を余儀なくされる女性は少なくありません。女性の働き方に特に大きな影響を及ぼすライフイベントには下記があります。

  • 結婚
  • 出産・育児
  • 親の介護

なかでも出産・育児は、女性の離職のキッカケになりやすい出来事です。

実際に内閣府男女共同参画局の調査でも、仕事を持つ女性のうち、出産・育児を機に退職する女性は約半数にのぼるというデータが出ています。

女性が出産・育児を機に退職する理由は下記の通りです。

  • 産休・育休制度は形式上のもので、実際は取れない・取りづらいことが多い
  • 出産後に復職しても、以前と同じポストには戻れない
  • 子供の病気・用事でたびたび休むと職場に迷惑がかかる
  • 仕事と家庭の両立は体力・精神面の両方でハード

子供を持てば、当然ながらそれまでとは生活の仕方が変化します。本来であれば、生活様式の変化にあわせて働き方も柔軟に変化させるべきです。

しかし残念ながら、出産後の女性に出産前と同等の働き方を求める企業は少なくありません。

結果、肉体的・精神的に限界を迎えた女性が退職を選ぶケースは多々みられます。

退職しないまでも、正社員ではなくパート・アルバイトとして働かざるを得ないケースも珍しくありません。

充実した福利厚生は働きやすさに直結する

女性が退職・ポジション変更を余儀なくされるのは、ライフステージにあわせた働き方が用意されていないためです。

反対にライフステージの変化にあわせた働き方が用意されていれば、女性でも生涯かけてキャリアを形成できるチャンスがあります。

簡単にいえば、女性にとって働きやすい職場であれば、女性でも一生働き続けることは夢ではありません。

働きやすい職場かを判断する基準の1つが、福利厚生の充実度です。福利厚生とは、いわば従業員が快適に生活・労働するためのバックアップです。

女性は働き方に制約を受けやすいぶん、より手厚いバックアップを必要とします。

仕事も家庭も諦めたくないというのであれば、バックアップ体制=福利厚生の充実した職場を探しましょう。

福利厚生の種類


福利厚生は、大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。それぞれの内容・例をご紹介します。

法定福利厚生

法定福利厚生は、法律で義務づけられている福利厚生です。企業は規模・業種などにかかわらず、必ず下記の6種を従業員に提供しなければなりません。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

法定外福利厚生

法定外福利厚生は、法律の義務がない福利厚生です。独自に設定できるため、内容は企業によって大きく異なります。

法定外福利厚生の一例を下記にご紹介します。

  • 住宅提供(寮・社宅・借り上げ社宅)
  • 医療・健康促進(健康診断・人間ドック・仮眠室の設置)
  • 育児・介護(法定以上の育児・介護休暇・短時間勤務制度・託児所の設置)
  • 休暇(法定以上の休暇・アニバーサリー休暇・失恋休暇)
  • 自己啓発(資格取得支援制度・通信教育費補助)
  • 財産形成(確定拠出年金制度・確定給付企業年金制度)
  • 食事(食費補助・朝食提供・社員食堂の設置)

単純に福利厚生という場合、法定外福利厚生を指すことが一般的です。法定外福利厚生は企業の従業員への考え方が色濃く反映されるポイントです。

企業の風土を知るためにも、就職・転職前に必ず内容をチェックしましょう。

特に結婚・出産を予定している女性は、出産後も働き続けられる環境が整っているかに着目してください。

女性向けの福利厚生が手厚い企業ランキング


2016年から施行されている「女性活躍推進法」を受け、近年は女性向けの福利厚生を充実させている企業が増えています。

代表的な企業とそれぞれの取り組みをご紹介します。

サイボウズ株式会社

https://geeklyreview.com/company/company-806

サイボウズは中小企業向けのグループウェアです。「100人いたら100通りの働き方」を理念に、下記のような福利厚生・働き方を展開しています。

  • 最長6年の「産前産後・育児・介護・看護休暇」
  • 退職後、最長6年は復職できる「育自分休暇制度」
  • 子連れ出勤制度
  • フレックスワーク・リモートワークを自由に組み合わせられる「働き方宣言制度」

サイボウズは2005年に離職率28%をマークしたことを契機に、福利厚生の拡充などの社内改革を行いました。

結果、2019年の離職率は3%程度にまで下がっています。

一般的にIT企業は女性従業員が少ないイメージがありますが、サイボウズでは従業員の約4割が女性です。

また、女性の出産後の復職率は100%ともいわれています。理由として、リモートワーク・子連れ出勤などの育児支援制度の充実が挙げられます。

株式会社アイアンドシー・クルーズ

https://geeklyreview.com/company/company-9726

アイアンドシー・クルーズは2020年7月に株式会社じげんへ経営統合されました。じげんの福利厚生の一例は下記の通りです。

  • 残業時間月間45時間以下の方に1万円の「残業過少者奨励金」を支給
  • 誕生月に1万円分のギフトカードが支給される「誕生お祝い」
  • 1日20分間の昼寝ができる「N-minutes」
  • 資格・勉強会出席の補助制度

じげんはフレックスワーク制度を採用しているため、従業員はある程度自由に労働時間を設定できます。

完全週休2日制で休日出勤はほとんどありません。夏期・年末年始の休暇も充実しており、仕事とプライベートを両立させやすい企業です。

株式会社サニーサイドアップ

https://geeklyreview.com/company/company-5806

サニーサイドアップはだれもが「たのしく」働ける企業を目指し、32の福利厚生制度を設けています。下記は一例です。

  • 生理休暇や卵子凍結保存の費用補助を含む「Dear Woman」制度
  • 従業員同士の結婚・第2子誕生以降、都度100万円支給する「サニーベイビー」制度
  • 家族のための特別休暇・離婚休暇を含む「ファミリーホリデー休暇」制度
  • 長期勤続の従業員に休暇・報奨金をおくる「これからもヨロシクね」制度

仕事だけでなく、家庭・プライベートを充実させるためのユニークな福利厚生が充実しています。

特に生理休暇・卵子凍結保存の補助などは、働く女性がライフプランを確立するうえで、大いに役立つ内容です。

楽天グループ株式会社

https://geeklyreview.com/company/company-5887

楽天グループでは女性向けの手厚い福利厚生が設けられています。特に子を持つ女性に人気の福利厚生は下記の通りです。

  • 定時2時間前後の時差出勤が可能な「時差勤務制度」
  • フレックスタイム制度・在宅勤務制度
  • 託児所・授乳所の設置
  • 休職前・復職前セミナーの実施

産前産後休暇・育児休暇・家事代行サービスなども充実しています。その他、朝・昼・晩の無料食事サービスは性別に関係なく人気です。

なお楽天の公式発表によると、2020年の産休・育休後の女性の復職率は99%でした。出産後の女性が働きやすい環境が整っていることが分かります。

株式会社ニトリ

https://geeklyreview.com/company/company-11343

ニトリは従業員のライフステージにあわせた手厚い支援を展開しています。福利厚生の一例は下記の通りです。

  • 有給休暇が無くても休暇を取得できる「出産・育児支援休暇」
  • 休日出勤の際に利用する託児サービス費用を補助する「日祝託児費用補助制度」
  • 最長約2年間の「育児休業制度」
  • 出産・育児のために離職した従業員を再雇用する「ジョブ・リターン制度」

その他にも、出産育児一時金や出産手当金などが設けられています。住宅手当に相当する地域手当が支給されることもあります。

全国転勤がある点がややネックですが、働く女性にとって必要な支援制度が充実している企業の1つです。

企業の評判が気になるなら口コミサイトを活用しよう


人材確保のために、福利厚生を充実させることで「働きやすさ」を実現している企業は少なくありません。

しかしなかには、求職者と企業が考える「働きやすさ」が食い違っているケースもみられます。

そのため本当に働きやすい企業かどうかを判断するには、企業が提供している情報だけでは図れないのが現実です。

求職者目線でリアルな情報を得るには、口コミサイトを活用しましょう。実際に働いている方の生の声を聞くことは、現場の雰囲気を知るのに役立ちます。

特に福利厚生は、制度は充実していても実際には利用できないことも少なくありません。

そういった情報を得るためにも、就職・転職前には1度は口コミサイトを覗いておくことがおすすめです。

GeeklyReviewでは多くの企業の口コミ情報を掲載しています。

企業ごとの福利厚生の内容・利用状況を知りたい方は、ぜひ下記リンクから口コミをチェックしてください。

福利厚生の充実度ランキングはこちら

女性に人気の福利厚生は?


女性に人気の福利厚生を2つご紹介します。就職・転職を検討中の方は、企業選びの参考にしてください。

住宅手当・補助

住宅に関する手当・補助は、子供を持つ女性にとって重要な福利厚生です。住宅事情は子供にあわせて変化しやすいためです。

子を持つ女性の多くは、自宅と託児所・会社の往復のしやすさを重視しています。距離的な近さだけでなく、交通の利便性も重要なポイントです。

一般的に交通アクセスが優れた住宅ほど費用は高くなります。そこで重要になるのが会社からの住宅関連の手当・補助です。

住居費用のバックアップがあれば、家賃・住居費が多少高くても、子供を送り迎えしやすい立地の住居を探せるためです。

また、住居費用は単純に家計を削ります。子供の有無にかかわらず、節約のために住宅手当を重視しているという女性は少なくありません。

特別休暇


特別休暇とは、法定休暇以外の休暇を指します。具体的な休暇例は下記の通りです。

  • リフレッシュ休暇
  • アニバーサリー休暇
  • バースデー休暇
  • 生理休暇
  • 法定休暇以外の育児休暇

特別休暇があればプライベートを充実させやすくなります。また、子供の病気・学校の用事で休む際も気兼ねする必要がありません。

休暇が取りやすい職場ほど、不思議と従業員の士気は高い傾向があります。「また仕事を頑張ろう」という気持ちになれるためです。

労働へのモチベーションを保つためにも、特別休暇を重視する女性は非常に多いです。

女性が企業を選ぶ際の注意点


女性が企業を選ぶときは、まず「自分がどのように働きたいか」という具体的なビジョンを持ちましょう。

たとえば第一線で活躍したいのであれば、女性の管理職・総合職登用を積極的に行っている企業を選ぶことが大切です。

結婚・出産後も働ける職場を探している方は、育児休業制度が充実した企業を選ぶ必要があります。女性の産後の復職率も働きやすさの目安となります。

そうはいっても、社風・現場の雰囲気は実際に働いてみないと分かりづらいものです。そんなときにおすすめなのが、企業の口コミサイトの活用です。

実際にいま働いている方の声は、企業の実態をリアルに伝えてくれます。GeeklyReviewでは数多くの企業の口コミが網羅されています。

就職後のミスマッチを避けるためにも、ぜひ就職・転職前に1度は口コミをチェックしてみましょう。

女性が働きやすい企業一覧を見る

女性が働きやすい企業はたくさんある


女性が長く働き続けるには、女性にとって働きやすい職場を選ぶことが大切です。現在は、女性向けの福利厚生が充実した企業が増えつつあります。

本当に女性が働きやすい職場かを知るには、実際に働いている女性の声を聞くことが1番です。

GeeklyReviewでは各企業で働く女性の口コミも多く掲載されています。気になる企業がある方はぜひ参考にしてください。

女性が働きやすい企業一覧

女性が働きやすい企業をご紹介します。