転職を決心したときには、何通もの履歴書を書くことになります。

ほとんどは決まったフォーマットに自分自身の経歴や情報を機械的に埋める作業で済みますが、志望動機だけは別です。

応募する会社に合わせて、1枚1枚オリジナルの文章を作成しなければなりません。

志望動機は中途募集の採用担当者が履歴書の中で最も重視する箇所のひとつなので、いくら手間をかけてもかけ過ぎることはないです。

ここではこの志望動機がなぜ大切かを、適切な書き方と共にご紹介します。

ケース別の志望動機の書き方も掲載しているので、ご参考にしてください。

中途採用の選考で志望動機を重視する企業は多い


多くの企業の採用担当者が、送られてきた履歴書の中で重視するのはまず「職歴」で、次に「志望動機」です。

採用担当者が志望動機を通じて知りたいのは「なぜ、この会社に応募したのか」という点です。志望動機からは求職者の本音を伺うこともできます。

採用担当者が重視する志望動機ですから、丁寧に手間をかけて書くようにしましょう。

複数の会社に応募した人が履歴書に記入する際、同じ文面の志望動機を使い回すことがありますが、これは避けるべきです。

注目度の高い志望動機欄です。応募先の会社をよく調べて、その会社のどこに興味を持ったのかを、ひとつひとつ異なる文面で記入しましょう。

中途採用の志望動機を書く前に準備すること


中途採用のための志望動機を書くに当たってまずするべきことは、ご自分の転職理由を整理して心をクリアにすることです。

転職先の候補と考えている企業の情報も収集・整理しておきましょう。情報収集はしっかりと行うようにします。

あなたにとって魅力的な企業を選び出すと同時に、あなたの経歴のアピールポイントをその企業とつなげて志望動機を作成するためです。

詳細は後述しますが、志望動機はポジティブで建設的な内容にしましょう。

転職理由を整理する


あなたが転職を決心するに至った経緯を、まず整理しておきましょう。

転職の経緯は新しいキャリアの追求といったポジティブなものだけではありません。

待遇や人間関係の不満といったネガティブなものも入り混じっているはずです。

家庭の事情といった、どちらにも属さない理由も関係しているかもしれません。

理由をポジティブな側面とネガティブな側面とに整理したら、ポジティブな側面を核にして、志望動機を組み立てて行きます。

志望する企業についてしっかりと調べる


「なぜ当社を選んだのか」という採用担当者の疑問に答えるためにも、志望する会社についてよく調べておきましょう。

「就職情報誌を読んだらよさそうな会社だった」「惹かれるものを感じた」では回答になっていません。

就職する会社の取り扱っている製品や、主なシステム開発の実績は、絶対に押さえておきたい内容です。

その会社のホームページやパンフレットに掲載されている内容も、当然知っておかなくてはなりません。

同業他社について・競合する製品やサービスについて・なぜそちらを選ばずにその会社を選ぶことにしたのかといった点も、整理しておきましょう。

GeeklyReviewでは中途採用募集中のさまざまIT企業の情報を、選考情報と共に見ることができるので、会社情報の下調べのときに便利です。

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中途採用の志望動機を書くときのポイント


中途採用の志望動機を書く場合、一番大切なのは「応募先を選んだ理由」を明確にすることです。

その上であなた自身がその会社にとって魅力的で、転職後はその会社に貢献できる存在であることをアピールします。

「アピール」と書きましたが、度が過ぎて「自慢話」にならないように気をつけてください。

転職にはネガティブな要素が絡む場合もありますが、志望動機の文章はできるだけ明るくポジティブなものとなるよう工夫してください。

そのためには、「自分自身のビジョンを明確にする」ことと「前職での経験とスキルを具体的に説明する」ことが大切です。

自分自身のビジョンを明確にする


実際に入社してから取り組みたいことや、IT技術者として最終的に目指しているキャリアを明確にしておきましょう。

その会社に就職したらどういう形で自己実現したいか、どのようにして会社に貢献したいかをゴールにします。

最終的に目指しているのが会社を経営することやフリーランスとして独立することなら、志望動機の中では伏せておいた方が無難です。

その会社を将来辞めることを前提にしているからです。採用の時点からそのような目標を公言する社員を応援したいと考える会社は滅多にありません。

志望動機のストーリーを組み立てるときに注意しましょう。

前職での経験とスキルを具体的に説明する


前職でどのような経験をしたか、その経験を応募した会社においてどのような形で活かしたいかを志望動機の中で具体的に説明しましょう。

未経験者が応募する場合でも、新しい職場で生かせるスキルや経験があるのなら、志望動機の説明に加えましょう。

担当者が、あなたが新しい職場で生き生きと活躍する様子をイメージしてくれたら、それは採用への第一歩です。

ケース別の志望動機の書き方[例文付き]


ここでは同業者への転職・未経験の業種への転職・第2新卒での転職の3つのケースについて、志望動機の書き方の注意点を例文とともに示しています。

それぞれのケースに当てはまる方は、ぜひ参考にして良い志望動機を書いてください。

同業種に転職する場合


同業種へ転職する場合採用担当者が確認したいのは、前の職場で感じていた問題点がなぜこの会社へ転職すると解決すると思うのか、という点です。

志望動機では、まずこの点をはっきりさせる必要があります。丁寧かつ簡潔に書きましょう。

同じ業界であっても、会社によって仕事の進め方は異なります。応募先企業のことをしっかりと研究してください。

その上で、あなたのこれまでの職務経験やそこで得た知識をこの会社でどのように活かせるかを、できるだけ具体的に書きましょう。

同業種への転職の場合の例文:

「現職では主に官公庁相手の大規模案件をプログラマーとして2年、SEとして3年間担当してきました。

さらに現職ではチームリーダーとして3人のスタッフの管理を任されています。

SEとしてさらにスキルアップするためにさらに上流の工程の業務を経験することを希望しています。

しかし要件定義など上流の仕事は親会社の方で取りまとめているので、現在の会社ではこれ以上スキルアップの可能性はありません。

しかし御社なら、システム開発の上流から下流まですべての工程を担当していると伺っています。SEとしてさらに幅広い経験が可能です。

現職で身に付けたC++のプログラミング能力、そしてプログラム仕様書を作る能力は御社の業務にも十分に貢献できるはずです。

御社では現職の経験をベースにSEとしてさらに幅広い経験をして、将来はプロジェクトマネージャーを目指したいと思っています。」

未経験から転職する場合


未経験から転職する場合には、その職種の経験者と比べた場合、即戦力として大きなハンディキャップがあります。

そのため未経験の職種に敢えてチャレンジをする背景を説明して、採用担当者に未経験でもあなたを採用すべき理由を明確に示しましょう。

あなたのこれまでの経験が新しい職種に役立つことを納得してもらうのも良いです。

あるいはその職種に就くためにあなたがどのような準備をしてきたかを書くのも良いです。

IT分野だったら、基本情報試験技術者や応用情報試験技術者に合格しておくと、資質の証明になります。

あるいはそれらの資格への挑戦意欲を伝えるだけでも、あなたのやる気が採用担当者に伝わるはずです。

未経験者の例文:

「新卒で入社した会社で法人営業を担当して5年になります。

多くのお客様と会ってニーズを汲み取り、それぞれが喜んでもらえる製品を提案できる現在の生活にやり甲斐を感じています。

しかし30歳が近くなり自分自身の仕事についてもう一度見直した結果、大学時代に勉強した情報処理を一生のキャリアにしたいと思うようになりました。

現在でもプライベートでは自前でLinuxサーバーを立ち上げたり、古いパソコンを復活させたりして楽しんでいます。

また昨年は基本情報技術者試験に合格、次は応用情報技術者試験に挑戦予定です。

貴社においてはこれまでの営業経験で得た知見も活かし、お客様に喜んでもらえる使いやすいシステム製品を開発したいです。」

第2新卒で転職する場合


第2新卒の場合、採用担当者は「採用しても少し面白くないことがあると、また辞めるのではないか」という先入観を持っている可能性があります。

採用担当者の不安を払拭するために、たとえ短い期間でも仕事に責任感を持って取り組んだことや、社会人として得ることが多かったことを書きましょう。

第2新卒者の例文:

「新卒で研究職に配属されて1年になります。日々最先端の科学の一端に触れる生活には張り合いがあり、小さな論文も1本書かせてもらいました。

しかし、同じ情報処理であっても大学で専攻したAIと現在の研究テーマには大きな隔たりがあります。

転職自体は配属直後から考えていましたが、今の会社でAI研究に従事する可能性も考えていたため、しばらく待つことにしました。

しかし1年経ち研究テーマの変更は難しいことが判明したため、AIを生かした製品を専門に開発・販売をしている御社に応募する決心をしました。

現在の会社で身に付けた研究者そして社会人としての基礎は、御社で働くようになっても役に立つと信じています。」

中途採用の志望動機のNG例


ここで、不採用につながりやすい志望動機の書き方を紹介します。

まず気をつけるのは、給料が良い・地元で就職したいなどの待遇や条件面の理由をそのまま志望動機にしていないかということです。

これらは会社に応募する際のひとつのきっかけとして、簡単に触れる程度なら構いません。

しかしそれが主な志望動機になってしまったら、採用担当者に「働く意欲が感じられない」と受け取られてしまいます。

志望動機はあくまでも業務に直接関係ある前向きなものにするべきです。

「会社の業務に興味を覚えた」や「ここなら自分の経験や知識を生かせると感じた」などです。

その他にも、志望動機を書くときに気をつけるべき事項として、下記の点をあげることができます。

業務内容に触れていない

就職後の業務への具体的な言及がないものは、志望動機として成立しません。

ご自分の業務経験やスキルについて記述されていない場合、志望動機として役に立ちません。

採用担当者は、志望動機の中からこれら業務内容に関する記述をチェックして、応募者の資質を見極めようとするからです。

例えば、よくある志望動機のひとつとして「御社の経営理念(ビジョン)に共感しました」というものがあります。

共感するのは悪いことではありません。しかし経営理念(あるいはビジョン)のどこに共感したのかがわからなければ、意味がありません。

またビジョンに共感したという志望動機のみでは、その人をどんな職種のどんなポジションに付ければ、即戦力として働いてくれるかを担当者がイメージすることも不可能です。

場合によっては採用担当者に「他の会社にも志望動機として全く同じ内容を書いているのだろう」と足元を見透かされてしまいます。

受身の姿勢を感じさせている

例えば「〇〇の分野が得意な御社で、しっかり学ばせていただきたい」という書き方の志望動機があったとします。

「学ばせていただきたい」という表現が真面目で謙虚な印象を与えると書いた人は思っているのかもしれません。

しかしこれは「成長させてもらえるなら御社を志望します」といった企業頼み・他人任せの受け身な人という印象を与えてしまいます。

企業が中途採用者に求めるのは、即戦力として積極的に活躍できる人です。

どうしても「学びたい」というニュアンスを伝えたいのなら「自分の経験に固執せず、良いことは積極的に学びたい」などと書きましょう。

同じように「研修制度が充実しているから」や「未経験OKの案件だったから」とだけ書くのも受け身な人とみなされて、恐らく採用には至りません。

退職理由が曖昧になっている

前の会社の退職理由が待遇の問題だったり人間関係の問題だったりして、あまり触れたくない人は、恐らく多いでしょう。

そうであっても曖昧な書き方をすると、採用担当者は「本音を隠している」とすぐ気がついてしまいます。

退職理由と志望動機の間に明らかな矛盾があった場合も、同じです。

ネガティブで知られたくない理由で退職しても、その中からポジティブな要素を見つけ出し、矛盾のない志望動機のストーリーを作り上げてください。

「前職でかなえられなかったSEとして活躍する希望を、御社でかなえたい」などの例はどうでしょうか。

「それが難しいとわかっていても、プライベートで情報処理の勉強を続けてきた」などの記述があれば、さらに良いはずです。

ただし完全なウソの志望動機はいけません。ベテランの採用担当者なら簡単に見破ってしまいます。万が一採用されても、入社後に苦労します。

中途採用は決して不利ではない


中途採用による転職は新卒での就職より難しく、待遇でも条件面でも悪くなると考える人も多いです。

しかしそれは、一部の超大手企業にとってだけの話にすぎません。

大多数の企業の場合、やる気も経験も十分で入社後すぐに即戦力になってもらえる人材は、いつでも大歓迎のはずです。

中途採用を積極的に行なっている企業の口コミをチェックしよう


外資系・中堅の安定した企業・実力のある人はいつでも歓迎のベンチャー企業など、魅力的な会社は日本にもたくさんあります

それらの企業の中には、業績が急拡大したなどの理由で中途採用を積極的に行っている会社もあるはずです。

でも名前だけで経営の安定度と良い待遇が保証されていることがわかる会社は、ほんの一部です。

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充実した志望動機を作成して転職活動を有利に進めよう


志望動機は中途採用を行う企業にとって、職歴と共に最も大切な情報です。

志望動機を記入するにあたって、絶対に手を抜いてはいけません。

複数の企業に応募する場合は手間だと感じるかもしれませんが、各々の企業情報をもとに1件ずつ、あなただけのオリジナルの志望動機を作成しましょう。

あなたが企業にとって歓迎できる人材であることを証明できるのが、履歴書の志望動機の記入欄なのです。

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