かつての日本企業では新卒で入社した会社で、定年まで働くのが理想とされていました。
またそれ故の終身雇用であり年功序列だったわけです。
しかし現在では自らのスキルを活かして、よりよい待遇を求めて転職するのが当たり前となっています。
そうはいっても業界未経験の転職では注意すべき点も多いです。
そこでこの記事では未経験転職は何歳までにするのが有利なのか、また転職にあたって企業を選ぶポイントはどこにあるのかを解説しています。
併せて転職の際に、年代ごとに求められる経験やスキルなどについても紹介しているので、ぜひ参考になさってください。
未経験転職は年齢が重要?
一般に未経験者の転職は年齢を重ねるごとに厳しくなるものです。
企業が未経験者を採用する際には、その人物にどれだけの伸びしろがあるのか判断します。
その判断基準の中で大きな割合を占めるのが年齢だからです。
ですから未経験者の転職は、若ければ若いほど良いということになります。
多くの企業では30歳でラインを引いています。しかし実際には28歳前後がラインと考えた方がいいでしょう。
もちろん例外もありますが、あまり多いとはいえません。
28歳という年齢は、新卒で入社したとすると5年目という節目になります。
ここで立ち止まって人生について考えることはとても大切です。
もし未経験の業界への転職を考えるのなら、熟慮に熟慮を重ねて結論を出しましょう。
年代ごとに求められるもの
未経験者の転職は一般的には若い方が有利であるのは間違いのないところです。
しかし中には30代や40代、あるいは50代以上で他業種に転職している人もいます。
これは一体どういうことなのでしょうか。じつは企業は年代により求める人材が変わるからなのです。
年代により求められるものとは何なのか詳しくみていきましょう。
20代
企業が20代の未経験転職者に求めるものは将来性です。
それから新卒枠で採用しきれなかった人材を、第二新卒として採用したいという思惑もあるでしょう。
第二新卒は名刺交換や電話の受け答えなど、基本的なビジネススキルを身に付けています。
その上で業界について教育していけばいいのですから、企業にとっては教育を1ステップ飛ばすことができるわけです。
20代なら体力もあり頭も柔軟です。そして少子高齢化により企業の人手不足感はあらゆる業界に及んでいます。
ですから20代の未経験転職者は、大いに歓迎されるといっても過言ではないでしょう。
30代
企業が30代の未経験転職者に求めるものは即戦力です。
異なる業界であっても、新人の教育経験や部下のマネジメント経験などは応用できるものです。
ただしできれば同じ業界での転職の方がいいでしょう。同じ業界であればスキルや培ってきた人脈などがそのまま活かせます。
どうしても異なる業界に転職を希望するのであれば、その業界について少しでも経験をすることです。
40代~50代
企業が40代から50代の未経験転職者に求めるものは管理職です。
人材管理のベテランであれば、業界による違いはあまり重視されません。
転職が当たり前のアメリカでは、異業種からCEOが雇われることが珍しくないのです。
例えばアップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが、当時ペプシコーラでCEOを務めていたジョン・スカリーを、CEOとして雇い入れた際のエピソードは有名です。
スティーブ・ジョブズはジョン・スカリーを18ヶ月にわたり説得し続けます。
そして最後に「このまま一生砂糖水を売り続けたいのか、それとも私と一緒に世界を変えたいのか?」と告げました。
この一言でジョン・スカリーはアップルに移ることになります。
まだ日本ではここまでの例はありませんが、将来的には近づいていくでしょう。
【職種別】未経験転職の限界年齢
一般に未経験転職は若いほうが有利です。しかし未経験転職の限界年齢は職種によっても異なります。
ここではコンサルタント・エンジニア・事務/経理・営業について、それぞれ詳しくみていきましょう。
コンサルタント
コンサルタントは高収入なことから人気のある職種です。
未経験でコンサルティング会社へ転職する場合は、30代前半までがリミットになるでしょう。
20代であれば第二新卒扱いとなり、新卒と同じスタートラインに立つことが可能です。
もし30代半ば以降に未経験転職をするなら、コンサルティング会社はその業界でこれまで経験したことがコンサルティングの役に立つかどうかをみることになります。
役に立つという判断であれば入社となりますが、そうでなければ断られることになるでしょう。
エンジニア
一言でエンジニアといってもその職種は幅広いものです。ここではIT業界のエンジニアに絞って解説しましょう。
IT業界は慢性的な人手不足に陥っており、20代から30代前半であれば、意気込みさえあれば未経験転職者を歓迎するケースが多いです。
しかし肝心なことが1つあります。それはITエンジニアはプログラミング言語など専門性が高く求められます。
ですから入社後にしっかりした研修を受けられるのかどうかが重要です。
またITエンジニアの道に進みたいのか、それともエンジニアをまとめるマネジメントに進みたいのか、はっきりさせることも必要になります。
事務・経理
事務職の代表は総務ということになるでしょう。総務は仕事の内容が多岐にわたるのが特徴です。
所属する会社が株式会社だった場合、もっとも重要な仕事は株主総会の運営と実施になるでしょう。
株主総会は株式会社の最高意思決定の場ですから失敗は許されません。
ほかには細々した仕事が多いのですが、未経験転職は比較的受け入れやすいといえます。
企業によっては年齢不問で募集することもあるので、20代・30代でなければいけないということはありません。
経理はどの企業にも必ず存在する部署です。簿記2級以上の資格があるのなら未経験転職は可能でしょう。
しかし通常は経理経験者が転職するケースが多く、その場合は年齢もそれほど厳しくは問われません。
営業
営業職はどの業界の企業でも一定数の人員が必要な部署です。
そしてエンジニアや経理などとは異なり、専門性の高いスキルや資格は要求されません。
ですから年齢を問わず未経験でも転職しやすい部署といえます。
求められるものは体力やコミュニケーション能力など、ヒューマンスキルが中心です。
ただし一口に営業といっても、業界により販売するものは千差万別です。
その業界に興味を持ち営業職を考えるのなら、業界について深く掘り下げて考える必要があります。
未経験転職は何歳がベスト?
結局、未経験転職は何歳がベストなのでしょうか。
もし第二新卒扱いを希望するのであれば、新卒から3年以内ということになるでしょう。
新たにチャレンジするのなら、30代前半までがベストかもしれません。
日本の求人は35歳を境に大きく減る傾向にあります。
これは以前から変わらないので、今後も続くと見た方がいいでしょう。
ただし少子高齢化の影響や、企業の人手不足感が加速するようであれば、この傾向は変化するかもしれません。
未経験転職で大事なこと
未経験転職で大事なことは、できれば早いうちに決断を下すということです。
年齢が若ければ柔軟性があるので、それだけで評価を得られます。
また自身にとっても新たなチャレンジは刺激的なものになるでしょう。
ですからこれまでの経験をキャンセルしてまで転職するのなら、30代前半までにしておいた方が無難です。
ただ、それでもチャレンジしてみたいという方は、GeeklyReviewの未経験からの活躍ランキングを見てみましょう。
未経験からの転職に成功した人の口コミを確認できます。
未経験転職の際に企業を選ぶポイント
未経験転職の際に企業を選ぶポイントはいくつかあります。まずその企業との相性が良いのかどうかです。
社風がマッチしていなければ入社後に後悔することになります。
また未経験者とはいっても、前職で得たスキルが全く役に立たないのでは、厳しいでしょう。
自分のスキルが活かせるのかどうかは重要です。
なお未経験者としてきちんと扱ってくれるのかどうかは、研修制度の有無により決まります。
それぞれ大事なポイントなので、詳しく解説しましょう。
社風がマッチしているかどうか
その企業の社風と自身の信念や信条がマッチしなければ、その転職は成功したとはいえないでしょう。
とはいえ企業の社風をチェックするのはなかなか困難です。
通常は複数回面接が行われますから、その際に社内の様子に気を配っておきましょう。
特に注目してほしいのは社員同士のやり取りです。
社員同士のやり取りが、笑顔を交えた和やかなムードであればいいのですが、その逆に険悪なものであったら要注意です。
社員が常に追い込まれているとそうなりがちなのですが、ということはその企業の社風は推して知るべしでしょう。
自分のスキルが活かせる仕事内容か
未経験者とはいっても前職で得たスキルは活かしたいものです。
ですから自分のスキルが活かせる仕事内容かどうかはとても重要になります。
スキルが活かせる、あるいは応用できれば、すぐに仕事に馴染めるはずです。
仕事に馴染めたら新たな環境や状況にも慣れるでしょう。
この「慣れる」ということは実は大事なことで、慣れるのが難しければそれがストレスに繋がります。
ただでさえ新しい職場・新しい人間関係で緊張しているのに加え、なかなか仕事に馴染めなければ、体を壊してしまうかもしれません。
研修制度があるかどうか
その企業が未経験転職者を丁寧に扱うのかどうかは、研修制度の有無により判断できます。
業界未経験者であるにも関わらず、上司がいきなり仕事を振ってくるようでは、その企業は人材を育てる気がないということになります。
充実した研修制度が設けてあり、OJTなどで仕事の流れを体験させてくれる企業であれば、その転職は成功だといえるでしょう。
未経験転職には企業研究が欠かせない
転職する際には同じ業界であっても企業研究は欠かせません。
まして未経験転職では、まずは業界の研究から始める必要があり、その上で個々の企業を研究することになります。
企業研究にはネットでの検索が有効ですが、情報としてなかなか上がってこないのが口コミです。
GeeklyReviewなら未経験からの活躍ぶりなど、貴重な口コミをチェックすることが可能です。
未経験転職は早めの準備が成功のカギ
未経験転職は早めの準備が成功のカギといえます。特に有利なのは第二新卒です。
しかし企業にとっては、これから本格的に育てようという矢先でもあるので、転職する際に揉めないように注意しなければなりません。
喧嘩腰で飛び出しては後々祟ることもあります。業界が違っても将来的に何らかの接点が生まれる可能性がゼロではないからです。
早めの準備の中には現職場での根回しも含まれます。
業界や企業の研究も大事ですが、人間関係も同じように大事にすることを意識したうえで、未経験転職について考えてみましょう。
未経験者が活躍している企業一覧
未経験者が活躍している企業一覧はこちらからご覧ください。
この記事の監修者

ギークリーメディア編集部
主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。