IT技術を利用したシステムやネットワークは日々進化しています。さまざまなサービスが提供されており、現代では日常生活に欠かせない社会インフラのひとつです。
しかし、IT技術を支えるエンジニアは需要が高いにも関わらず人材が不足している状況で、慢性的な人手不足が続いています。
なぜIT業界は人手不足に陥っているのでしょうか。その理由やIT業界で働くメリット・人手不足を解消する対策・IT業界でおすすめの職種まで詳しく解説します。
ニュースで叫ばれているIT業界の人手不足問題
経済産業省が発表したレポート「IT人材需給に関する調査」によるとIT人材は2025年に40万人、2030年に45万人の人材不足となるとの試算があります。
IT業界の発展にともなう需要の高まりに対して、高度なスキルを持つエンジニアの供給がまったく追いついていない状況です。
この深刻な人材不足が解消されない場合はITの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進を阻害する可能性も指摘されています。
IT業界が人手不足に悩まされる理由
企業における「人手不足」とは、業務を遂行するために必要な人材が集まらない状態を指します。なぜIT業界はこれほどまでに人手不足に悩まされているのでしょうか。
主な原因として、働き手の減少・エンジニアの定年退職・市場の急成長の3点が挙げられます。詳しくみていきましょう。
働き手の減少
少子高齢化は日本全体の社会問題ですが、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少し、総人口も2008年以降減少の一途をたどっています。
社会全体の労働需要に対して供給される働き手が大幅に不足している状況です。とくにIT業界は専門知識を持つエンジニアが必要なため、人材の確保がさらに難しくなっています。
エンジニアの定年退職
少子高齢化は働き手の減少に加えてエンジニアの高齢化にも影響しています。
高齢になったエンジニアが次々に退職して現場から去っていく一方で、新しくエンジニアとなる若者の数が足りません。
企業は定年の延長や再雇用などの対策をしていますが、根本的な解決には至っていません。
市場の急成長
IT業界の市場規模は毎年プラスで推移している成長分野で、技術が進化するスピードもとても速いです。
一般的に市場の拡大は業界にとってメリットとなるものですが、IT業界においてはメリットばかりではありません。
どんどん進化していくIT技術を使いこなすためにはエンジニアにも専門性の高い知識・スキルが求められるため、常に学び続ける姿勢が必要です。
仕事をしながら勉強することが多すぎるため努力を続けることが難しくなり、挫折してしまう人も少なくありません。
ここ数年でIoTやAIなど新たな分野が急速に発展していますが、技術の進化にIT技術者の育成環境が追い付いていないのが現状です。
今後も新しい技術が登場した場合はエンジニアにさらなる負担がかかると予想されます。
IT業界で働くメリットは?
人手不足に悩むIT業界ですが、成長産業であること・好きな働き方ができることなど働くうえでさまざまなメリットもあります。
具体的にみていきましょう。
将来性がある
現在はあらゆる業界でIT技術が使われ、ネットショッピングやコミュニケーションサービスなどさまざまなサービスが展開されています。
今後も身近なサービスがIT技術によって進化していくと予想されており、今後もIT業界は発展すると考えられます。
新しい技術を学び続ける努力は必要ですが、目覚ましい成長を続ける業界なので将来性はあり、これからIT業界を目指しても遅くはありません。
好きな働き方がしやすい
IT業界の仕事はインターネットに接続できる環境とパソコンがあればどんな場所でも仕事をすることができます。
在宅勤務や外出先からのリモートワークも可能で、自分のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができます。
出産や子育てで離職する女性が多いですが、IT業界の場合は在宅勤務を選択できるためキャリアを諦めることもありません。
在宅勤務の場合は服装も自由で好きなタイミングで仕事をすることができます。
満員電車に乗ることも天候に左右されることもなく自分に合った働き方ができることはIT業界で働く大きなメリットです。
IT業界の内情は口コミサイトでわかる
転職を考える際には気になることがたくさんありますが、徹底的に情報収集をしても企業の実情まで把握することはなかなか難しいものです。
そんなときは実際に現場で働いている社員のリアルな声を口コミサイトでチェックするのがおすすめです。
GeeklyReviewはIT・Web・ゲーム業界に特化しており、会社の評判から面接の選考情報までを見ることができます。
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IT業界の人手不足を解消する対策は?
日本社会の少子高齢化も影響しているため、IT業界の人材不足は今後も続くと予想されています。
早急に対策を打つ必要がありますが、需要が高いにも関わらずIT業界への就職率が低いという課題があります。
人手不足を解消するためにはIT業界全体で職場の待遇改善や未経験者など多様な人材を採用するといった対策が必要です。
職場の待遇改善
IT業界の仕事は比較的高収入ではありますが、働き方に関してはややネガティブなイメージを持たれており、そもそも就職・転職の選択肢から外されている場合があります。
- 残業・休日出勤が多い
- 待遇が激務に見合わない
エンジニアの賃金の引上げや福利厚生の充実などを図り、社員の待遇を見直すこともIT業界の人材不足解消への有効な手段です。
業界未経験の人材も積極的に採用
待遇の改善とともに、採用する人材に関してもIT業界未経験者やシニア層など多様な人材に目を向ける必要があります。
即戦力の採用だけでなく、未経験でもIT業界で働くことへの熱意や成長意欲の高い人材を積極的に採用して自社で育成することも考えなければなりません。
また、採用方法の見直しも必要です。従来の求人情報サイトを利用した募集だけでなく、会社の認知度を上げるためにSNSを活用するなど新しい取り組みが必要です。
IT業界でおすすめの職種
IT業界にはあらゆるテクノロジーに対応するためにさまざまな職種があり、IT系の職種として知名度が高い「エンジニア」だけでも10種類以上に分類されます。
IT業界に興味があっても「どのような職種を目指せばいいのかわからない」「それぞれの職種の違いがわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
IT業界の代表的な3つの職種からおすすめの仕事をご紹介します。
エンジニア
IT業界のエンジニア職は専門領域によって細分化されており、開発する製品や担当する業務によっても名称が異なります。
なかでも、今後注目されるエンジニア職には下記の5つがあります。
- AIエンジニア:AI(人工知能)の実装・データ解析を担当
- Webエンジニア:WebサイトやWebサービスのデザイン・コーディングを担当
- アプリケーションエンジニア:スマホアプリなどの設計・開発を担当
- ネットワークエンジニア:ネットワークシステムの設計・構築・運用・保守を担当
- サーバーエンジニア:ファイルサーバーやWebサーバーの設計・構築・運用・保守を担当
プログラマー
プログラマーは企業の情報システムや家電製品・携帯電話などの機械に組み込むプログラムを開発する仕事で、IT業界を代表する職種です。
プログラマーにもさまざまな種類があります。
- Webプログラマー:Webシステムの開発を行う
- アプリプログラマー:モバイル端末向けアプリの開発を行う
- ゲームプログラマー:アプリ・PCなどのゲームを開発する
- 組み込み系プログラマー:家電製品を制御するプログラムを開発する
- 汎用系プログラマー:汎用機で動くプログラムを開発する
- オープン系プログラマー:複数のコンピューターで構築するシステムを開発する
- 通信系プログラマー:通信に関連した製品を開発する
開発する分野で使用するプログラミング言語が異なるため、プログラマーを目指す場合はさまざまな言語を扱えると転職の際に選択肢が増えます。
営業職
IT業界にも営業職が存在しますが、商品そのものを売り込むのではなく顧客が抱える問題に対する解決策を提案して、その結果自社のサービス・商品を導入してもらうのが仕事です。
IT業界の営業職にもさまざまな職種があります。
- ハードウェア営業:パソコン・携帯電話・サーバー・社内ネットワーク機器などのルート営業
- SIer(システムインテグレーター):顧客へのシステム導入の提案・契約・構築・保守などを行う
- 受託開発営業(オンプレミス):開発リソースを持たない会社からシステム開発を請け負う
- パッケージ営業:自社で開発したソフトウェアやシステムをパッケージングして販売する
- ITコンサル:顧客の抱える問題をIT技術で解決し、システムの導入を提案する
IT業界の企業を詳しく知りたいなら
このようにIT業界にはさまざまな職種がありますが、同じ職種でも企業によって担当する業務や必要なスキルが異なる場合があります。
入社後のミスマッチを防ぐためにも、IT業界への転職を考える場合は口コミサイトを活用して情報収集するのがおすすめです。
GeeklyReviewはIT業界に特化した会社情報・選考情報の口コミサイトで、実際に働く社員の生の声を見ることができます。
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IT業界は企業や働き方の選択肢が豊富
IT業界は今後ますます発展することが予想されていますが、IT技術を支える人材は慢性的に不足しています。
少子高齢化による働き手の減少や高齢になったエンジニアの退職が主な理由で、人材の確保が業界全体の課題となっています。
激務のイメージがありますが、基本的にインターネット環境とパソコンがあれば働く場所を選ばないため多様な働き方ができることは大きなメリットです。
人材不足を補うために未経験者の採用も増えているため、スキルがなくてもIT業界を目指すことは可能です。
IT業界への転職を考える場合は口コミサイトをチェックして、自分の経歴がいかせる会社を探してみましょう。
口コミ数が多いIT企業一覧
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この記事の監修者

ギークリーメディア編集部
主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。