SIerについて知るためには、まずSIの意味を知る必要があります。SIは、システムインテグレーションの略語で、システム運用・開発を受託するという意味です。

システム運用・開発を受託することをビジネスとして扱っている企業をSIer(エスアイアー)といいます。

SIerには種類があり、事業内容などによりメーカー系・ユーザー系・独立系・外資系・コンサル系の5つに分けられます。

ここではメーカー系SIer企業について、業務内容やユーザー系との違い・年収などについて説明していきますので、転職を考える場合や仕事内容に興味がある場合は参考にしてください。

メーカー系SIer系企業とは


メーカー系SIerは、ハードウェア製造を行うメーカーの傘下にある企業のことをいいます。

メーカーのソフトウェア開発部門が、独立するケースや別の企業が新たに傘下に入ることもあります。

特徴は、親会社が製造したハードウェアを使用してシステム開発や構築を行う傾向があることです。

また、親会社の傘下にあるためプロジェクト内で現場が異なるということがないため、企画から運用までの各工程でスムーズに作業ができる特徴があります。

ユーザー系SIer企業との違い


ユーザー系SIerは、メーカー以外の民間企業のシステム運用・開発を受託する部門が独立してできた企業です。

メーカー系と異なる部分は、親会社からの案件を受注するだけではなく、民間企業などから案件を受ける事もあるため受注範囲は広くなります。

ユーザー系SIer企業には、金融関係や商社関係・交通関係の会社が多く見受けられます。

国内で有名なメーカー系SIer企業3選


国内には多くのメーカー系SIer企業が存在します。企業によって売上高や経常利益、社内教育制度など異なります。

ここでは、売上高が国内で上位3番に入るメーカー系SIer企業について特徴を述べていきます。

それぞれ異なった特徴を持っていますので、ぜひ目を通してください。

富士通株式会社

グローバルにビジネスを展開している企業で、メーカー系SIer企業として富士通エフサスがあります。

テレワークを導入しているほか、ソロワークや相談しながら仕事を進めることができるスタンディングワークも行うことが可能です。

官公庁や学校など取引先が幅広く、強制シャットダウンシステムなど働き方改革にもつながるものを提供しています。

キャリア面談とは別に、1on1ミーティングなどで社員とのコミュニケーションを図ることにより信頼関係を築くなど業務がはかどりやすい環境づくりをしている企業です。

株式会社日立製作所

日本トップクラスの電機メーカーとして高い知名度を誇る大手企業です。鉄道や電力などの社会インフラ向けのシステムや金融・官公庁向けのシステム開発を手掛けています。

近年、右肩上がりの利益率を上げており、国内で挙げた実績を持って海外展開の動きを見せています。事業基盤がしっかりしていますので、これからも成長を続けていく企業です。

人材育成については、研修にじっくりと時間をとり、資格取得のための勉強時間をとることもできます。会社全体で人を育てる意識が強い企業です。

NECソリューションイノベータ株式会社

業務案件は、警察や自治体など官公庁が中心ですが、病院や金融など幅広く事業展開しています。

社員は技術力が高いので、揉まれながら自分のスキルをアップするには最適な環境です。先端技術の人材育成やビジネススキル研修などがあり、教育制度が豊富で充実しています。

顔認証システムなど業界でトップクラスの技術力があり、既存業務をこなすだけではなく新規事業を生み出すために常にチャレンジしている企業です。

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メーカー系SIerの平均年収


メーカー系SIer企業は、ハードウェアの製造と販売を親会社で行っているため、平均年収は安定して高くなることが多いです。

メーカーの子会社として業務を行うため、給料体系はメーカーの体系に準じた収入を得ることができますが、一部ユーザー系SIer企業や独立系SIer企業のトップクラスと比べるとやや下回ります。

多くのメーカー系SIer企業の年収は、700万円~800万円ですから平均年収は750万円ということになります。

エンジニアの平均年収は600万円、SIerの平均年収は650万円ですので、メーカー系SIerの平均年収は高いのです。

メーカー系SIerの主な業務内容


メーカー系SIer企業は、上流工程の業務を行うことがほとんどです。

上流工程とは、顧客との打ち合わせでシステムに関しての要望・議論を行う要件定義とシステムの構築を決める基本設計のことをいいます。

設計を作成した後に行う下流工程の業務は、メーカー系SIerの下請けや独立系SIer企業に回しプロジェクト管理業務を行います。

親会社からの案件が中心のため、納期を必ず守る必要があります。下流工程の作業がスムーズに進むように設計を誰が見ても理解できるようにするなど、気を配らなければなりません。

ここでは、メーカー系SIerの業務に関する特徴を説明していきます。

親会社の下請けとしての業務

メーカー系SIerの業務内容は、親会社やグループ企業からの案件が中心となり、企画や設計・システム開発・運用などをこなすことになります。

親会社が大手企業ですので、案件が安定して入ってくることから仕事が途切れるという不安はありません。

また、親会社の下請けということもあり、業務内容によって短期間で、勤務先が変更になる可能性が低いことが業務の特徴として挙げられます。

大規模プロジェクトになることも

大手企業が受注するシステム開発は、莫大な資本力が背景にあるためプロジェクトとしての規模は必然的に大きくなります。

大規模プロジェクトになることが多いので、1つの企業だけで完了することができないためメーカー系SIer企業の下請けに業務を回すこともあり、相当な人数が関わることになります。

数100人のケースもあれば、1000人以上が関わるケースもあり、大人数で1つの高品質のシステムが作り上げるのです。

メーカー系SIerに向いている人の特徴


メーカー系SIer企業は、独立系SIerなどとは異なりさまざまな環境が違います。違う部分は、安定性や業務の規模などが挙げられます。

働くにあたって、メリットがあればデメリットも存在しますが、安定を第一に考えるのであれば最高の環境です。

メーカー系SIer企業向きの人を3つの特徴に分けて説明していきますので、参考にしてください。

大きな仕事に関わりたい


メーカー系SIer企業が関わるプロジェクトは大規模になることがあります。

上記でも説明していますが、数100人の場合もあれば1000人以上がプロジェクトに関係することもあり、大きなプロジェクトに関わる一員として業務を行う可能性もあるのです。

大きな仕事になると、1人1人にかかる責任は大きくなるもののやりがいを感じることができます。

大規模プロジェクトに責任を持って関わりたい場合は、スキルアップができるメーカー系SIer企業で働くことをおすすめします。

安定した環境で働きたい

親会社が大手企業ですから、経営基盤ができていることと案件が途切れることがないため、安定した環境で業務を行うことができます。

仕事が途切れるという不安がないため、仕事に集中できるというメリットがあるので、安心して働きたい場合はメーカー系SIer企業が良いです。

幅広い業界に触れたい

メーカー系SIer企業は、親会社・グループ企業の案件が多く、金融業界をはじめ流通・交通・不動産などさまざまな業界の案件に関わることができます。

多くの業界に触れることにより、それぞれの分野におけるノウハウを自分のものにすることができますので、能力アップにつながるのです。

さまざまな業種に関わることにより、得意・不得意が出てくる可能性がありますが、1つの分野に特化するわけではないため新しい気持ちで仕事に臨むことができます。

メーカー系SIerで働くために必要なスキル


メーカー系SIerで働く場合、システム開発などに携わることになりますので基本的なITスキルや知識が必要となります。

メーカー系ということもあり、プロジェクトの規模や責任がさまざまなSIerの系統と比べても非常に大きいのです。

メーカー系SIerで働くために必要なスキルは、プログラミングスキルだけではなく顧客の課題を理解する力など多岐にわたるため、ITは理系と考えがちですが文系でも活躍することができます。

ここでは3つの必要なスキルについて説明していきます。

基本的なITスキル

プログラミングやセキュリティなどに関する基本的なITスキルを持つ必要があります。

基本的なITスキルを持った上で、技術進化のスピードがとても早いIT業界ではスキルをアップデートし続けなければなりません。

ITスキルの他にも、常に新しいスキルを学び続ける力を持つことが大切です。

コミュニケーション能力


顧客の要望を反映させる必要があるため、やりとりを細かく行います。また、協力会社のメンバーやチームで業務を行うので、スムーズに仕事を進める上でもコミュニケーション能力は必須です。

システムを作っていく際は、どの工程も大事ですが開発段階が特にコミュニケーションをとることが多いため、絶対になくてはならない能力です。

プロジェクトマネジメント能力

メーカー系SIer企業では、プロジェクトに関係している人が多くいます。大規模なプロジェクトを受注するケースが多いので、納期から逆算してスケジュールを進めていかなければなりません。

下請けの方とコミュニケーションをとることも多いため、プロジェクトマネジメント能力はさらに伸ばすことができます。

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メーカー系SIer企業の実際の業務内容や研修メニュー・社内の雰囲気などは、企業のホームページだけではなかなかイメージすることができません。

具体的にイメージを膨らませたい場合は、メーカー系SIer企業に勤務している人の話を聞くことが良いです。

しかし、身近にメーカー系SIer企業に勤務している人がいない場合は、社員の口コミを確認することがおすすめです。

口コミ確認や第三者からの視点でもらった意見をもとに、メーカー系SIer企業とマッチ率がわかる可能性があります。

自分自身の性格などがわかった後に、メーカー系SIer企業のホームページや企業の口コミサイトなどを見ると、自分が企業にマッチしているか判断することができます。

人気のメーカー系SIer企業一覧

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